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HAPPY LIFE
【学園物 恋愛小説】

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HAPPY LIFEB-2

部室に行くと、先輩マネージャーと思われる人が話しかけてきた。
「高橋さんと橘さん?」
「はい。高橋夕里です。よろしくお願いします」
「あっ、橘明日香です。よろしくお願いします」
二人並んであいさつをする。
「私、3年の渡辺千栄。先生から話は聞いてるの。今日からよろしくね」
肩に付くさらさらのストレートの髪がとても印象的。
「うちね、マネージャー不足だから仕事たくさんあるんだけど…大丈夫?」
きれいに整った顔を少し歪ませて聞いてくる。
「がんばります!!」
「がんばります!!」
ここは気が合うもの同士、声が揃ってしまった。
「二人、仲がいいのね」
そう言って先輩は笑い出した。とてもあったかい雰囲気が流れる。




「あなた達、雄大と同じクラスなんでしょ?」
夕里と二人で部室の掃除をしていると、千栄先輩が言いだした。
「雄大って…?」
「私の弟。渡辺雄大って、同じクラスにいない?」
ワタナベ、ユウダイ…。渡辺って、もしかして隣りの席の渡辺くん?
「ねぇ夕里、渡辺ってうちのクラスに一人しかいないよね?」
「女子にも一人いるけど、男子も一人だけ」


「渡辺くんのお姉さんなんですか?あんまり似てないですね。」
あんなキレイなお姉さんがいるなんて羨ましい。
「そう?小さい頃はよく似てたんだけど。最近はあんまり口もきいてくれなくなったのよ」
ちょっとだけ眉間にしわを寄せた。
「渡辺くんって頭いいですよね。私隣りの席なんですけど、このまえ勉強教えてもらったんです」
「そうなんだ?アイツも意外とやさしいとこあるんだ」
そう言って笑う先輩。クールな印象の先輩は、笑うと無邪気な子どもみたいでとてもカワイイ。
「先輩は彼氏さんとかいるんですか?」
急にこんな質問をしたもんだから、夕里ったら私の隣りで焦りだした。
「いるよ。あそこにいる人」
そう言いながら指差したのは、キャプテンの斉木先輩。バッターボックスに立って今まさにボールを打とうとしているところだった。
「今年でもう4年目なの」
「4年目って…中3の時からですか?」
「そう。その頃からずっと野球やってて、私もずっとマネージャーで。私の誕生日8月18日なんだけど、なぜか毎年試合と重なっちゃってさ。でもね、毎年その日は必ずホームランかヒット打ってくれて、そのボールをプレゼントしてくれるの。秋人らしいよね、ってこんなこと言ってもわかんないか。あっ…じゃあここはお願いね。私あっちにいるから、何かあったら声かけて」
部室から去って行く先輩の姿を見た後、夕里と目が合う。
「いいね、あうゆうの。私も早く彼氏が欲しいよ」
「私は…しばらくいいや。幸久の事忘れられないわけじゃないけど、なんか他のことに夢中になってみたいっていうか…」




部活が終わり、着替えを済ませて二人で校舎内を歩く。
「明日香ちゃん、また会ったね」
「あっ、こんにちはっ」
えっ、また?どうしよう、妙に緊張する。
「だれ?」
夕里が小声で聞いて来る。
「例の憧れの先輩って人」
心臓がドキドキしてる…先輩に聞かれてるんじゃないかって不安になる。
「お友達?」
先輩は夕里のことをチラッと見ながら聞いてくる。
「はい。同じクラスの高橋夕里ちゃんです」
「はじめまして。明日香、私先に帰るね」
そう言うと夕里は足早に帰ってしまった。
え〜、二人きりにしないで。
「明日香ちゃん…」
なぜか先輩が私のほうに向かって歩いて来る。だんだん近付いて来る。距離にして私と先輩の間は約30cm。
(えっ!!!何???)


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