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ある熟女の日々
【熟女/人妻 官能小説】

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姉に似た助手-1

 高校に来ていた推薦枠をもらって大学に進むことができました。女子が集うキャンパスは同性の自分にも眩しく見えました。アパート探しは、上の姉が勤めを休んで付き合ってくれました。

 「やっぱり都会は家賃も物価も高いのねえ」

いくつか不動産屋を回りながら姉がため息をついています。

 不動産屋では、ぼおっとしているカモのようなわたしに「1階はだめよ。あぶないから」とか「洗濯物を中で干せるといいわね」と、いろいろ気遣ってくれながら、大学から○○線という電車で30分くらいの◇◇町という街のアパートに決めました。

 講義が始まりキャンパスに通い出すと、校門をくぐってから建物に入るまでの間、大勢の人が声をかけてサークルへの勧誘をしています。「出身はどこなの?」、「〇〇に興味あるかしら?」と矢継ぎ早に声をかけられますが、とても対応する余裕がありません。うつ向いて講義棟へ急ぎます。

 講義棟に入ると壁には大きな掲示板があって、休講の通知や一時的なバイトの募集など様々な連絡事項が書かれた紙が画鋲で止めてあります。貼り紙に目を通していくと、あと10分後くらいに始まるはずの講義が休講となっていました。先週の1回目の講義はわたしには難しすぎて退屈だったので、少し得をしたような気持になりました。不意にできた空き時間をつぶすため、キャンパスを歩いてみることにしました。

 勧誘活動でにぎやかなメインストリートを避けて、キャンパスの奥の方へ進んでいきます。レンガを模したタイルが貼ってある「研究棟1号館」という建物に入ってみました。薄暗い廊下が時代を感じさせます。ほぼ正方形の「ロ」の字の形をした建物の廊下を歩きながら3辺目に入る角を曲がったときに、前方に上の姉が立っています。しかも、立っているだけでなく、誰かと抱き合っているではありませんか。

 「〇子ねえちゃんっ!」

 思わず姉の背中に声を掛けます。姉がゆっくりとこちらを振り向きます。…姉ではありませんでした。

 「すっ、すみませんっ!」

 慌てて謝ります。ちょっと背が高めで背中も広めの様子や、肩に届くくらいの長さの髪…。体型や雰囲気のすべてが上の姉そのままでしたが、こちらを見ている貌は、濃いめのきりっとした眉をしていて、姉よりも年上に見えました。

 「あんた、『〇子』っていうんだっけ? かわいい妹いるんだね」

 姉にそっくりの女性に隠れていましたが、抱き合っていた相手がこちらを見て笑っています。栗色のショートカットの女性でした。

 「なんか用?」

 姉に似た女性が迷惑そうに言います。

 「い、いえ、間違えて来てしまいました。ごめんなさいっ」

 急いで廊下を引き返して角を2回曲がって外に出ることができました。

 「世の中には自分とそっくりな人が3人いるんだよ」

 バス停横のよろずやのおばあちゃんが話していたことを想い出して、ちょっと家に恋しくなりました。○子姉に似た人が女の人と抱き合っていたことなど忘れていました。

 「○○◇◇さーん」

 翌日、階段教室に座っていると突然後ろから声をかけられました。驚いて振り返ると、昨日の○子ねえさんにそっくりな女性が立っていました。驚いて固まっている何かを差し出してきます。

 「あっ…」
 「学生証落としていったでしょ。はい」

 慌てて走り去ったときに、落としてしまったようです。

 「あ、ありがとう…ございます」
 「あんた、○○学部なのね」
 「はい…あ、ありがとうございます」
 「学生課に届けようと思ってたんだけど、○○学部1年生の木曜1限ならもしかしてここって思って寄ってみたの。学生課まで行かずに済んだわ」
 「あ、ありがとうございます」

 何度もお礼を言う様子が滑稽だったのか、少し口角が上がったように見えました。

 「入学していきなり大事なもの落としてどうすんのよ。チェーンつけといてあげたから、気を付けなさいよ」

 プラスチックのケースに入れていただけの学生証でしたが、チェーンのついた革製のパスケースに収まっています。

 「あの、これ…?」
 「使ってないのあったから、あんたにあげるわ。いきなりびっくりさせたのはこっちだからさ。じゃ」

 チャイムが鳴って先生が入ってくるのと入れ替わるように女性は教室を出ていきました。


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