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ある熟女の日々
【熟女/人妻 官能小説】

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モーテルができたら-1

 中学を出て高校は上の姉の○子と同じところに行きました。姉と同じように自転車に乗ってバス停まで走っていますが、砂利道は去年舗装されたので走りやすくなりました。

 道沿いにあった農機具の小屋は、去年の台風で潰れてしまい、跡には草が生い茂っています。

 この前、下の姉の△子が「『夏草や つわものどもが 夢のあと』とはこのことやねぇ」と笑っていました。

 下の姉は、中学校の部活で県の大会に進んだりしているうちに声がかかって、上の姉とは別の高校に進み、いまは寮に入っています。

 わたしは特にそのようなとりえもないので、一応勉強だけはして、上の姉と同じ高校に進むことができました。

 「入ったばかりでなんやけど、あんた高校出たらどうするつもりや?」

 朝ごはんを食べていると母が洗い物をしながら尋ねてきます。

 「なんにも考えてないけど、〇子ねえちゃんみたいに就職するんとちがうの?」
 「柳島から道が伸びて来て、そのうちウチの畑にかかるみたいなんよ」
 「ふうん、それで?」
 「だから、あんまり大した額でもないけど、いくらかホショーキンが貰えるんやと。そいでな、あんたぐらいは、上の学校まで行かせられるかもしれんなぁ、ってお父ちゃんが夕べ言ってたわ」
 「お母ちゃんこそ、お金が入るんなら、もう縫製工場に出なくてもよくなるんじゃない?」
 「ありがとな。でも、小遣いぐらいは稼がせておくれよ」

 (仏間で夫婦の営みしながら、そんなこと話してたんかな…)と思いながら朝ごはんを食べ終わりました。

 「じゃ、いってきます」

 自転車に跨ってバス停に向かいます。

 (△子ねえちゃんはどうするんかなあ…。上の学校には行かんで就職するんやろか)

 舗装された道は自転車がガタガタいうこともなく快適に走れますが、学校からの帰り道には、時々、まだ舗装されていない道をわざわざ漕いだりもします。ただ、この前は、尖った砂利でタイヤがパンクしてしまいましたが。

 バス停脇の「よろずや」の分家筋の雑貨屋は、おばあさんは体調がよくないとかで、店には今、嫁のオバサンがいます。
 自転車をとめて、オバサンに挨拶しますが、オバサンは「ああ、おはよ」と言うだけで、あとは無愛想な貌でこっちをジロジロ見るばかりで少し恐いです。
 本家の兄ちゃんと上の姉が付き合ってるのを快く思っていないのかもしれません。
 そんな日に限ってバスはなかなか来ないものです。

 ようやくカーブの向こうからバスが姿を現します。ステップから乗り込むと、科は違いますが同じ高校に通う真由美が乗っています。
 1つ向こうのバス停のそばに住んでいて中学校から一緒です。真由美のお母さんもわたしの母と同じ縫製工場に出ています。
 真由美の隣に腰を下ろします。窓の外ではオバサンが腕組みしてこっちを睨んでいるように見え、慌てて目をそらしていると真由美が早速話しかけてきます。

 「あんた、道路が通る話聞いた?」
 「道路? なに?」
 「ほら、柳島のところで工事しとる道あるやろ。あれがこっちまで延びてくるらしいわ」
 「ああ、おかあちゃんがなんかそんな話してたわね。
 「それでな、あたしん家、その道路にかかって立ち退くことになるんやって」
 「立ち退き? へえ、そうなん。どうするん?」
 「家は立ち退くんやけどな。半端な土地が残るからどうしようかなって話になっとる」
 「うんうん」
 「おとうちゃんが言うにはモーテルでも建てたらいいんじゃないかって。あんたどう思う?」
 「どう思うって言われてもなぁ…そうやねぇ」

 「モーテル」という建物が何のための建物なのかは理解していました。知っていることでいいのか、知らないふりをしたらいいのか、すぐには決められないまま、わたしは生返事をしています。


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