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ある熟女の日々
【熟女/人妻 官能小説】

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父母会活動の日々-1

 上の子が通っている中学校でクラスの父母会の役員になってしまった。

 年度始めに父母が学校に集められ役員への立候補が募られたが、役員の経験がある森下という母親のほかには手も挙がらなかった。父母会といっても集まったのは母親だけで父親は一人もいなかった。子どもの席に座った母親たちが端から順に立候補の意思の有無を聞かれたが、『自分も働いている』とか、『夫の親の介護をしている』とかもっともらしい理由を述べて辞退していく。

 そして自分の番になった。『下の子もいるので…』と言ってはみたものの、下の子の関係で役員になっている訳でもなく、専業主婦で親も健在という中では役員を逃れる材料とはならないようだった。

 結局、さしたる事情を抱えている訳でもなく、話し合いから役員就任を辞退しきれず『勝ち抜け』できなかった数名の母親がくじを引くことになった。そもそもこの場に出てきてもいない父兄もいる中でくじ引きで決めるのはどうかとも思ったが、そんなことを言い出せる雰囲気でもない。担任の教師が、対象となる母親に名前を聞いていく。「〇〇です」、「◇◇です」「▽▽です」…。1人ずつメモ用紙に名前を記し小さく折りたたんで封筒に入れていく。用意が整ったようだ。

「では、3名の方を引かせていただきまーす」。

 教師が封筒に手を入れ、折り畳んだメモ用紙を3つ取り出して開いていく。

 「それでは役員は、森下さんのほかには〇〇さん、□□さん、◇◇さん、☆☆さんにお願いいたしまーす」。

 確率は半々程度だったが、当たってしまった。話し合いの場が解散して教室に近田という担任教師と役員になった母親5人が残った。役員の経験と年長者としての貫禄も備えた森下が発言する。

 「何回か役員もしたけど意外と大したことないから皆さん大丈夫よ。ねえ、センセ?」と近田に同意を求める。

 「そうですね。楽しく活動しましょ」と近田が応じている。

 「いちばん年上のようだから、委員長は引き受けさせてもらうわ」。

 てっきりまたくじを引くものと思っていたから、皆ほっとしたような顔を浮かべている。

 「じゃあ、早速ですけど今年度の活動予定です」

 近田が用意していたプリントを配る。

 「まずは懇親会の段取りじゃないのぉ?」。

 森下が冷やかすように口をはさむ。

 「そこはしっかり計画させてもらいますから!」と近田が応じる。

 「校区内パトロール、もうちょっと早い方がいいんじゃない?」。

 万事心得ているように森下が質問する。

 「そうですねぇ。とりあえず季節もよくなってからと思ってますけど、もう少し早くできるかもしれないですね」
 「一応、子供たちの安全に関わることじゃない? 早いほうがいいわよねぇ」

 どことなく芝居がかっている気もしないでもないが、母親たちはそろって頷いている。

 「例の自販機、まだそのまんまね」
 「え、まだあるんですか? あれ」
 「何よ。父母会から要望も出してるんだから、しっかりフォローしときなさいよ」

 森下が近田のことを御用聞きの店員のようにあしらっている。

 「自販機…ですか?」。つい口を挟んでしまった。

 「そうよ、自販機。エロ雑誌の。ご存じなかった?」。

 ご存じだったと思しき二人の母親が顔を見合わせて薄く笑っている。

 「あなたお住まいはどちら?」
 「中の台です」
 「あら、いいところね。じゃあ、ご存じないかもしれないけど、栄町の路地にいかがわしい雑誌の販売機があって風紀上よろしくないのよぉ」
 「そうなんですね。知りませんでした」
 「お宅はお嬢ちゃんなのね。だけど、息子さんがいるお家は気になるわよねぇ」

 息子を持っているとおぼしき母親が頷いている。

 「まあ、例によって学校の腰はいつも重いから、まだ、そのままなのねぇ。困った困った」

 大して困ってもいないような軽い口調で嘆いてみせる。

 「没収したのあるんでしょ? 持ってきて困った状況を共有しましょうよ」
 「まあまあ、森下さん。今日の今日でいきなりそこまでは。追々共有図っていきますんで、よろしくお願いしますね」

 近田がとりなすと、いかがわしい雑誌を見せつけられずにホッとしたようでもあり、それでいて期待が外れたようでもあり、微妙な空気が漂う。

 打ち合わせは年間の行事予定を確認してお開きになった。近々懇親会も行うらしい。


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