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ある熟女の日々
【熟女/人妻 官能小説】

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朝のルーティーン-2

 絶頂に達した満足感をひとしきり味わって、ティッシュを2、3枚とると股間のぬめりを拭う。ソファーから体を起こし、右ひざにまとわりついていたショーツに脚を通して腰まで引き上げる。テーブルの布巾でソファーの座面と背面に飛び散って濡らしている液と汗を拭う。リビングの隅に置いている姿見の前に立ち着乱れた衣服を直しながら身なりと容貌を確認する。

 ソファーで自慰に耽るときに陰部を晒すように脚を抱え上げるのは、晒した陰部に男の肉棒を深く突き刺されるイメージに基づいている。肉棒と膣穴の角度が合うように腰の位置を調整すると、自ずと膣口が中空に向かうことになる。膣の最深部まで肉棒が突き刺さるように大股を晒しているいい歳をした女。そんな設定に興奮が高まってしまう。抜き差しする自分の指が肉棒の代わりであることが強くイメージされる。

 イメージの中の相手は夫などではない。夫と交わるときに自分で脚を抱え上げたりしたことはいまだかつてないし求められたこともない。夫とは専ら正常位で、自分の腕は覆いかぶさる夫の背中か、布団の上に投げ出していることがほとんどだ。最近イメージしている相手は夫以外の男。かれこれ十数年来のお付き合いになる。

 男とは、もとはと言えば長女が中学校のときの担任の教師。男女の関係になったときの印象深い体位として今も記憶している。

 「お母さん、自分で膝の裏を抱えて…そう、そうです」

 男根が抜き差しされる方向に膣の位置を合わせることによって深い結合が得られます…などと説明しながら、教師は受け持つ女生徒の母親に大股を晒す体位をとらせた。両手で膝の裏を抱えて大股を開いていると、膣に肉棒を突き刺し、腕をベッドに突っ張らせて腰を上下させた。この体位での性交は俗に「杭打ち」と呼ばれることを、事が終わった後のピロートークで聞かされた。

 ただ、はじめて「杭打ち」されたときも、相手に促されるまま両足を抱え上げ、結合の深さがどうこうというよりも、「お母さん、いいですよ、いいですよ、お母さん、いいですか、いいですか、お母さん、いいですね、いいですね…」という男のセリフが思い出に残っている。

 夫以外の男と関係を持つということだけでもかなり興奮するできごとなのに、お互い家族がある身でありながら、快感を高めるために互いに工夫を凝らすというのは、さらに興奮が高まることだったし、それまでの夫とのセックスがみじめなものに思わざるを得なかったことを覚えている。相手の男は体育大学を卒業していて、いわゆるマッチョ的な体格だったことも夫とは正反対だった。性体験も豊富だったようで、体位をはじめ性行為全般についていろいろ教え込まれた。というか、今に至るまで教え込まれてきている。

 マッチョな外見からは想像しにくいが、細心で冷静な面もあり、密会していてこちらが舞い上がってしまっているようなときでも、帰宅すべき時間が近づけば「お母さん、今日はこの辺にしておきましょう」と打ち止めすることができる男だった。思い起こせば、保健体育という教科では、だいたいがジャージをだらしなく着ているような教員が多かったが、この男はスーツ姿も様になるような雰囲気を持ち合わせていた。

 その男は、関係を持って一年足らずでほかの学校に異動して娘の担任から外れたが、「教え子の母親」という関係ではなくなったこともあって、お互いの都合が許せばより気楽に逢える関係となって現在までも続いている。彼と出逢ってからは、夫の横で声を殺して自慰をするときのイメージは、彼とのセックスを脳裏に思い浮かべていることが多い。

 自慰のときにいやらしい雑誌のモデルの痴態を真似てみたりイメージしたりするのも、この男に教えられたといっていい。仕事柄というのか、有害な図書として生徒から没収した雑誌などを学校から持ち出してきては「逢えないときの奥さんのオカズにどうぞ」などと家に置いていった。子供の同級生がこのような雑誌を持っていることに驚きつつも、破廉恥な内容にいつしか身体を疼かせてもしまっていた。

 「オカズ」という言葉の意味もこのときはじめて知った。男も密会の際には「ほら、こんなポーズいいですよね、お母さん」などと破廉恥な写真が載ったページを示しては同じようなポージングを求めたりもし、それに応える中で淫らな気持ちを高めたりもしていた。

 そんな十年来の付き合いになる男…近田も現在50歳。先週、久しぶりに密会した。「今度、また〇〇中学校に転任になりそうなんですよ。今度は教頭としてですけどね」。四つん這いにさせて後ろから突きながらしれっと言い放つ。「どうですか、お母さん、うれしいです?」。娘の保護者と担任という関係はとっくに終わっているのに、いまだに「お母さん」と呼んでくるのもいやらしいが、名字や名前で呼ばれたくもない。

 いい歳をして「うれしいです?」などという舌足らずな言い回しも、爛れた関係を象徴しているようではある。「そうなんですか。子ども達も家を出て一人でおりますけど、夫の帰りが昔みたいに深夜ではなくなっていますので」。抜き差しで高まってきた快感をお互いクールダウンするように、たわいもない会話を交わしている。


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