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エロス・短歌倶楽部
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エロス短歌倶楽部の実態-2


しかし、雅美は会を開催するにつれて、それだけでは物足りなくなってきた。
彼等が成熟した男女であれば、
単に短歌を詠むと言うことだけではなく、何かが欲しいと思った。
色気のある短歌という作品を通して、その人間を理解し、
人はその人に深く関わりたくなる。
そして、その人が持つ感情に入り込みたくなるものである。

その思いが、人の肉体にまで及ぼすことに、まだ会員は知る由もない。
人との関わりとは、「性的な行為」或いは「セックス」をも意味する。
その会に参加した動機は、単なる好奇心だとしても、
異性という相手を意識し、
そこに「性欲」または「欲情」が生まれても不思議ではない。

とくに女性は自分というものを知って欲しいと思い、
それが昇華したとき、全てを曝け出したい、奪って欲しいと願う生き物である。
当然、それは愛であり、肉体の結合であり欲望でもある。

今は、その前触れにすぎなかった。

その部屋は会議室と言うよりも、どちらかと言うとスナックバーのように
落ち着いて、ゆったりとしている。
その部屋を初めて訪れた会員達は一様に驚いていた。
短歌の会場は通常、役所等が近くにある場合が多いが、そこは賑やかな繁華街にあった。
場所は歌会が終わった後、仲間で食事や飲み会等に都合が良い。
そして、その界隈には意外とラブホテルが少なくない。

雅美がその部屋を下見したとき、とても気に入った。
その開催する日は、週に1回程度にしようと思った。
後は会員達と相談して決めれば良い。
歌会を開催する時間は、夕方近くに決めた。

この会の趣旨からいうと、その頃の方が雰囲気がでるという理由で雅美が決めた。
参加者も皆、時間的にフリーな人達だからだ。
ある意味で、暇と時間を持て余している人達ともいえる。
故に、時間的制約がある勤人はこの会にはいない。

その日の夕方には、およその会員は集まっていた。
部屋には大きな洒落たガラスでできたテーブルが中央にあり、
長いソファがテーブルと向かい合ってふたつづつ置いてある。
それはどこか、客をもてなすナイトクラブに似ていた。

会員たちは、その部屋に入ると皆、驚いていた。
一般的なこういう歌会では、公民館等を使用し会議室のように、
整然と机と椅子が置いてある。

だが、その場所の選定には、
主催者の綾川雅美は、そういうイメージを打破したかった。
場所は、もとはスナック・バーであり、その雰囲気のままになっている。

雰囲気を出す為に照明は少し落としてあった。
会員の女性達は、そのゴージャスな雰囲気に初めは驚いていた。
その日、集まったのはそれぞれに男性が5名、女性が5名だった。





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