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レイ・ラブ
【ファンタジー 官能小説】

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レイ・ラブ-9

「これであなたにすべて話しました」僕をまっすぐに見上げてくる。
「兄さんはよかったのか、その、できたのか」
「すべて幻覚なの。呪いなのよ」腕にすがりついてきた。 「妊娠もしていないわ。ねえ、優しくして」
「そう思いたいんだろ。だが本当のところはわからない」
「ちがう。それ以来、兄さんと口走ってしまうの、それだけ。だけどそのせいで誰とも長続きしないの。お願い、嫌わないで」
「嫌いはしない」 ≪嫌いなんじゃない、僕といるのに兄に気をそらせている君に腹が立つんだ≫
レイの中に僕のものが入ったままなのを思い出した。「僕よりいいのか」
入っている感覚があまりない。「どうなんだ、兄さんの方がいいか」
≪僕をはずかしめたいんだな。そんなに太くて立派か≫
「いいえちがうの」抱きついてくる。やっぱり優しい抱擁だった。
レイの呼吸がいちだんと大きくなった。呼吸のようなうめき。
「あなたがいいの」泣いていた。
≪くそっ≫ しばらく使ったことのない汚い言葉が漏れ出した。≪冗談を言ったんじゃない。筋肉の力がなくなっていく病気だ。進行しているんだ≫
「君は、プレゼントが欲しかったのか」
うなずく。
「避妊はしてない」レイがささやくように言った。 「もうこんなこと、ないと思ってたわ」
「僕に父親になれとでもいうのか」
「なってくれるの」
「それは。君が勝手にしたことだ。なぜ言わなかった」
もう、近づきたくもない実家のうるさい親たちの顔が目に浮かぶ。こんなとんでもないことを知られたらひどい目にあいそうだった。
最悪なのは、喜ばれるかもしれないということだ。
「それなら、私たちじゃなくて、私への贈り物なのね。わたしは、父親なしで育ったの。なのに、この子もそうなってしまうわ」
ちょっと慌てた。「君はとっても魅力的だよ。それに呪いは子にはうつらないんだろ」
「そうね、本当はわたしもこんなことまでする気じゃなかったわ。 この体のせいで、そんな贈り物をくれようとする人はいなかった。父親まで望んでいられないのよ」
脇腹に乳房が当たって、呼吸が伝わってくる。
「実はこの後、僕はここから出ていかなくてはならない。次の仕事が待ってるからね。残念だけど」声を絞り出す。まるで裏切り者のようだ。
「ちょっと遊ぶだけのつもりだったの?」
「いや、だけど僕は旅暮らしだ。君が付いてこられない」最初は遊ぶつもりすらなかったのだ。
「それでいい。まだ歩けるわ。連れていって」腕をとると、抱え込んだ。
その手が振り払えない。
「君には未来をプレゼントしただろう」
「私があなたに合わせて歩けなくなるのは、そんなに遠いことじゃないわ。お腹が大きくなってきたら、そしたらあなたは自由になるのよ」
「僕に何をさせようとしてる」
「恋人でも父親でもなくていい。それまでのあなたの人形かしら」
反対の手でレイの髪をなでた。 「僕の人形になるのか」
「はい」
「そう言って、実はプレゼントを確実にしようと考えてるな」
「あなたの贈り物を、指の間から滑り落とすなんてことしたくないの」 レイの顔がゆがむ。
何をしてるのかと不思議に思っていると、まだ彼女の中に入っていた僕のものがかすかに揺らめいた。
「そうか」何とか喜ばそうとする姿が愛おしくなってくる。
しっかり抱きしめてやった。
キスを繰り返し、また、大きくなってきた僕のものを動かした。
レイがあえぐ。
レイが誘うと、暖かなぬめりに体は震える。
レイが腰を大きく振ると、僕も喜んで震える。
レイが喘ぎ声を上げると、心が震える。
≪これをぜんぶ離したくない≫
「では、しばらく一緒にいさせてやろう」
≪もう無理だ。空っぽになるまで吸いつくしたくせに、まだ欲しがるのか。僕の体も、ない物まで与えようとするのか≫
女は、体をゆすり、僕が答える。
女の動きに、僕はただ体を委ねる。
女の絶頂の声に、僕まで満足してしまった。
≪僕はこの魔女に惑わされたのだろうか?≫

ラベンダー色の服を着ると、レイは僕の腕につかまって一緒に歩き始めた。


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