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エロス・短歌倶楽部
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短歌というもの-5

そこで雅美は、この短歌倶楽部を立ち上げた気持ちを彼女に伝えた。

「私は短歌は好きです、昔からある美しい和歌等に心を惹かれます。
でも、私は今に生きる生身の女として、もっと激しくセクシャルな短歌をつくりたい、
そう思いました。
その中で、女の強さ、或いは生き様等はエロスがあってのことと思うのです。
ですのでこの倶楽部を……」

「分かりました、私もそう思います。綾川さんのお気持ち、わたし凄くわかりました。
ぜひ、参加させてください、それでですが?」

「こ理解いただけて嬉しいです、何でしょう」
「この倶楽部は対面での歌会でよろしいのでしょうか?」

「はい、直にお会いして、その作品とそのお気持ちを参加される方達と
共有したいと思っています。
その場合ですが、内容はエロスに関わる内容ですので、どなたでも、
というわけにはまいりません。
ですので、私が吟味して、この方ならばという個人的な感覚で選ばせていただきます。
しかし、入会していただければ、特に制約はありません」

「わかりました、ありがとうございます、それでもうひとつ……」
「はい、何でしょうか、美智子さん?」

雅美はまだ会っていないこの女性に、なぜか惹かれるものを感じていた。
後のことになるが、この美しい女性は、
この倶楽部の中で或る意味では男性会員のエロチックな対象になる。

「実は、私の夫は銀行関係の仕事をしていまして、
私がこういう倶楽部に入会していることが、知られると良くないので、
それが心配なのです」

雅美には、電話の緒上という女性から、その心配している気持ちが伝わってくる。

「大丈夫ですよ、美智子さん、その心配はありません、
この倶楽部はどなたでも入会できると言うことではなく、
僭越ですが私が選ばせていただきます。信頼できる方達になります」
「それに……」
「はい」
「一度、或る程度の会員が集まれば、それ以上募集はいたしませんので」

「わかりました、ありがとうございます、では、よろしくお願いします」
これで緒上という女性からの電話が切れた。

そして、後に彼女は友達で数人の女性を紹介し、彼女達も入会してくれた。
さらに、雅美の短歌が好きだという女性も参加することになった。

不思議なことで、その噂を聞いた男性からの参加者も増えた。
とくに、男性達は、直に短歌を通して彼女達の生身の気持ちを知ることができる
という期待感があることは確かだった。

その名の通りに「エロス」という言葉が参加者達に思わぬことが起きようとは
その時には思いもよらなかった。




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