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王女と王妃を調教する:呪われた王宮〜宿命(さだめ)を負う聖少女の物語
【ファンタジー 官能小説】

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第三十一章 過ぎ越しの日-1

第三十一章 過ぎ越しの日

キエフは息を飲んで見つめていた。

見た事もないような豪華な料理が並ぶ大きなテーブルに、キエフと同じようないかつい男達が座っていた。
中には盗賊の頭だった凶暴そうな顔の者や城の衛兵等もいる。

五人の男達が今夜、過ぎ越しの祭りの日に王宮に招待されていた。
人々は、一度はこの名誉な者に選ばれるのを望んでいた。

その者達から聞いた話ではご馳走と土産に金襟の服を貰う程度なのだが、帰ってきた者全てが生気に満ちた顔をして暮しているのを見ると、きっとルナ女王のご威光で幸せになれるに違いないとの噂であった。
事実、天使のようなその笑顔を見ているだけで女でも幸せな気分になれるのだった。

今、目の前にそのルナ女王が姿を現したのである。
荒くれ者であった盗賊の頭が、潰れていない片方の目を大きく開けて見とれている。

無理もなかった。
幼い頃からその美貌は有名であった。

父と母を一度に亡くし、ディオン殿下と結婚してからは特に美しくなっていた。
そう、まるで魔女のように。

「キエフ・・・久しぶりですね」

金色の瞳に見つめられた瞬間、キエフの心は真っ白に染まった。
得体の知れない温かい物にくるまれるような、心地良い気持ちになるのだった。

「ハ、ハイ・・ルナ王女・・・いや、女王様」

「ホホホホ・・王女でいいですよ。
 キエフ、あの時は世話になりました・・」

ルナ女王は楽しそうに笑っている。
キエフはこの身を綺麗にしてこなかったのをひどく後悔した。

王宮からの命令であくまで普段の格好をするようにとの事であったが、やはり女王様にお会いするのだ。

「みなの者も、名を聞かせて下さい」


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