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精神科医佐伯幸介のカルテ
【女性向け 官能小説】

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カルテ1の2 藤堂倫 27歳 新聞記者-3

待ち合わせ場所には5分前に到着した。
渋谷のデパートの入り口で倫は男を待った。
待ち合わせだろうか、何人かの若者が立っている。
通り過ぎる人が倫を見ていく。
露骨にジロジロ眺めていく男もいた。
「やあ、待たせたかい?」
男が声をかけてきた。
たしかに二枚目だった。
着ているものも高級そうなスーツだ。
きっとモテそうと思うけど、男の纏う空気は全くといっていいほど倫の興味をひかなかった。


遊びなれている男だと思いながら倫は答えた。
「ええ」
非難を交えた答え方だった。

いいわ、身体だけだもの
今日だけだもの

思い込むようにしてホテルへの誘いにうなずいた。
高級なものを身に着け、気取っているわりに男が選んだのはラブホテルだった。
風俗店の林立する裏手にホテルはあった。
路地には、男を拾うためなのか一人で立っている女性が複数いた。
男は倫の手を引き、その一軒に入っていく。
若者の街に似合う煌びやかな室内装飾が施されていた。

部屋に入ると倫は積極的になろうとした。
それは自分の欲望に対するものでもあり、幸介を忘れようとするためであった。
男のベルトに手をかけズボンを下ろした。
もどかしい手つきでトランクスをおろす。
目の前にぶら下がっているそれがひどく貧弱に思えた。
倫は、それを口に含んだ。
汚れてしまいたかったのかもしれない。
しゃぶり、吸い上げ、手でしごく。
しかし、男の反応は鈍かった。
いまひとつ倫の心を刺激するようにはならない。

男は倫の美貌に負けていた。
美貌だけでなく、教養、知性そういった倫のパーソナリティに萎縮していた。
男にとって今まで自分のテリトリーには存在していない女だったのだろう。
そういったもの全てが男の自尊心を傷つけ、性・欲を蝕んでいたのだった。
今日の倫は、そういう男の心理が手に取るようにわかった。
この男も同じ・・・
思いながらワンピースを脱いでいく。
その間も口による愛/撫は忘れなかった。
片手で器用にボタンを外した。
上から眺める男には白い上半身がすっかり見えていたはずだ。
鏡に映った赤いブラが異常に隠微に見える。
倫は男の手をとり乳房に導いた。

男はブラの隙間から手を差し入れ、手のひらにおさまらない乳房を弄り始める。
「ん、んん」
男を咥えた口から声にならない吐息が聞こえてくる。
男もようやく変化しはじめ、倫はますます攻撃的になり言葉にした。
「舐めて、私を感じさせて」
自ら全裸になると仰向けになって目を閉じた。
目を閉じたのには、ふたつの理由があった。
ひとつは、倫が見つめていると男の心に影響してしまうから。
もうひとつは幸介への罪悪感からだ。
本当は自分への罪悪感なのだが・・・。

自分から男を誘惑したのだと認めたくなかった。
男が勝手に自分の身体を舐めまわしているのだと思いたかった。
男は言われるままに従った。
二本の脚の中心部分に頭をいれ、丹念に舌を使った。
さすがに遊びなれている男だから、確かなテクニックを持っている。
敏感な突起を微妙なタッチで転がしてくる。
微かな快感が倫にも訪れはじめた。
下腹部の奥から愛液が滲み出す。
男は自分のペースに持ち込もうと必死だった。
俺をバカにしやがって、俺のテクニックで狂わせてやると念じている。
両手の親指で性器のまわりを指圧する。
倫も協力しようと思った。
とにかく快感が欲しくて自分の両手で乳房をつかむ。
小さな手のひらに納まらない乳房が変形している。
少し痛いくらいに力を入れた。
これいいかも・・・と乳首を摘む。
ビクンと身体が跳ねた。

男は勘違いした。
やっぱり自分のテクニックで落ちない女はいないのだと思った。



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