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カツシチュー
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カツシチュー-1

学校の先生がいっていたムツカシイ言葉が喉まで出てきてるんだけど、はっきりわからない。 
なんだろ? 
たしか……

カツカレー?

とか言っていたようないないような……

私はさゆき。 
しがない保育士だ。

迷いました人生に。 

今の職業はもともとやりたかった仕事だし子供も好きだった。 

問題は「だった」こと。 
今は中途半端な気持ちで以前みたいな情熱が持てない。 
続けることにも苦痛を感じ始めてきた。 

ちょうど夏休みまであと1週間。 

私には夢がある。 
そう捨てられない夢が。 
漫画家になりたい! 
練習も欠かさずに仕事上がりにしているし、機材もお高いやつを購入した。 

いつまでひきづっているんだと周りのみんなは言う。 
聞いてる振りをして全て聞き流した。 
私の生き方ってなんだろう? 

あの時先生はなんて言ってたんだろう? 

クエスチョンマークばかりが浮かぶ。 

でも先生が卒業式で言ってたあの言葉に私は不覚にも涙した。 

時間は過ぎ、選択が私に迫ってきた。 
残るか進むか。 
どの道も平坦なんかじゃない。 
漫画家で生計をたてるのは至難の業だとわかっていた。 
なのに、わざわざそんな道を選ぶことにも不安でいっぱいだった。 

カツカレー。 
いやちがうな…
たしか 
カツシチューだ!

カツシチューって何?

あんまり美味しそうじゃないな。 
私の記憶は少しずつ色を鮮やかにさせてきている。 
8月15日。 
辞表を出した。 
胸につかえていたモノが取れたような気持ちだ。 
その時は迷いはなかった。園児や園長先生に挨拶をした時は今までのことがフラッシュバックして 
目頭が熱くなった。 
わたしはすすむ。 
元来た道へは帰らない。 

それからしばらくは無我夢中で漫画を描き続けた。 
大賞にも応募した。 

一段落して我に還る。 
ふと、自分の選択に迷いが舞い戻った。

夢ばかり見てていいのかと。 
それが掴めるものなのかと。 
次第に胸は苦しくなり、 
わたしは沈み始めた。 


潜水艦みたいにわたしの精神は深く潜ってしまった。深く黒く音もなく。 


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