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王女と王妃を調教する:呪われた王宮〜宿命(さだめ)を負う聖少女の物語
【ファンタジー 官能小説】

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第二十一章 最後の闘い-6

「う、ううう・・・」
ディオンが、よろめきながらも立ち上がるのを見てルナが言った。

「ディオン、お母様を・・・」
「わかった・・・」

ディオンは元気良く答えると、祭壇に眠っているマチルダ王妃を揺り起こした。

「王妃様、マチルダ王妃様っ」
「う、うーん・・・」

マチルダ王妃はディオンの腕の中で、その美しい瞳を開けた。
微かに金色の光が漏れている。

それを見て安心したルナは、改めてアズートを追った。
男は祭壇の後ろに逃れ、姿を消そうとしていた。

「エーイ・・・」

ルナが振り下ろした聖剣のイナズマが、扉を打ち破った。
その向こうには床にひれ伏し、手を組んで震えている老人が見えていた。

「アズート・・父のカタキ・・・」

ルナが部屋に入り聖剣を振りかざそうとした時、アズートが顔を上げた。
ルナはその手を止めてしまった。

もう、アズートの魔力は利かない。
目の前にいるのは怪物でもない、ただの老人であった。

ルナには、どうしても出来なかった。
心優しく清らかに育ってきたルナだったから。

まして、人を殺すなど出来はしなかった。
いくら正体は怪物とはいえ今哀れな目をして震えているのは、ずっと尊敬してきた司教の姿なのだから。


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