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王女と王妃を調教する:呪われた王宮〜宿命(さだめ)を負う聖少女の物語
【ファンタジー 官能小説】

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第二章 アキシニス王国-3

「ま、待ってー・・ディオンー」

遠ざかる二人の嬌声を聞きながら、王と王妃は幸せそうに見つめていた。
ルナが振り返り手を振った時、マチルダ王妃が声を出した。

「ルナー・・・
 今日はミサがありますから、
 余り遅くまでいてはダメですよー」

「ハーイ・・お母様ー」

その返事と共に、少女は迷路の刈り込みの中に消えていった。
マチルダ王妃は庭園の端に建つ教会に視線を移すと、そこから近づいてくる司教を見つけた。

王と王妃が会釈をすると、司教はその場で膝まずいて頭を垂れた。
頭に僅かに残る白髪と深い皺に覆われた顔に、柔和な笑みをたたえた司教が立ち上がると、二人は心の底から尊敬の眼差しを送った。

マチルダ王妃の瞳が金色に光っている。
今夜は満月、過ぎ越しの祭りの日である。

三年前の飢饉を乗り切ってから続く王国の行事で、この日は国中で神に感謝を捧げるのである。アキシニス王国を襲った大飢饉は国中の作物を枯らし、人々を絶望のどん底に突き落とした。

何ヶ月も日照りが続いた時、今の教会の司教であるアズートがこの国を訪れた。
アズートが火を焚き神に祈ると、雨が降り出した。

そして持ってきた穀物の種をまくと僅か一日で青い芽がふき、草が生えたのだ。
次々に増殖する草で人々は飢えをしのぎ、再び穀物を実らせる事に成功した。

王はアズートを国の教会に迎えて感謝の念を表した。
以来、アズートは国の宗教を司る大司教として王の次に権限を与えられていた。
特に過ぎ越しの祭りでは国中が三年前の事を思い出して、王と共に神と司教に感謝の念を捧げるのだった。

「ご機嫌、うるわしゅう・・・」
司教の言葉に、王と王妃は深く頭を下げた。

「お身体の具合はどうですか、陛下」

「ええ、随分いいようです・・・。
 これも司教様に頂いた薬のおかげです」

「いえいえ、それは陛下の信心の賜物です。
 神はいつも見守って下さるのですから」

司教の言葉に再び王が頭を下げると、司教は優しくしわがれた手の平を王の額に乗せた。

春の日差しが三人の影を庭に落としている。
ルナ達の歓声とひばりの声が、平和を象徴するように聞こえていた。


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