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妻を他人に
【熟女/人妻 官能小説】

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裏切りを重ねて (3)-2

 子育て中は特別おしゃれすることもなくなったが、それでもショッピングモールなどに出かければ男たちの視線を集めてしまう。私も妻が注目されているのをわかっていて、わざと彼らの前で「イチゴ処理」や「生クリーム処理」でいちゃついて見せ優越感に浸るのがわずかな慰めだった。

 あるときなど唇の端に付着した生クリームを一度は拭ったはずなのに、その後妻がトイレに行って戻ってきたら、また別の所に付着していたことがある。ゆきの天然ぶりも可愛らしいが、私も生クリーム処理係としては大失格。あのときは本当に、トイレの前にはまったく気が付かなかったのだ。
 まあ夫婦の間に笑いが生まれたので、結果オーライである。

 ともあれセックスは遠かった。
 いったい私は妻とふたたびセックスできる日はくるのだろうか。セックスレスも二年、三年と長引くと、もう一生ゆきを抱けない気がして暗澹たる気持ちにもなった。
 新卒入社時から世話になった上司で家族ぐるみの付き合いのあるW氏に相談したのもこのころである。「子育てが落ち着くまでは我慢して支えてやれ」と、ありがたいアドバイスをいただいた。

  *

「ん…………ん…………んふ…………ぅ……ん…………んん…………」
「ゆき……チュ……」
「パパ……んん……チュ……」

 腰の動きを止めてキスをする。妻の髪を撫で、頬をさすり、乳首を転がす。

「んふふ、気持ちいい……」
「可愛いよ、ゆき……」
「嬉しい……もっと言って」
「いくらでも言ってあげる。だってゆき可愛いから……。世界一可愛い。ほんとだよ」
「ん……チュ……チュゥ……ありがと。パパ大好き……」

 あのサイトに書いてあったことは本当だった。

「セックスが好きではない女性もいます」「アダルトビデオのような激しい動きは安易に真似しないで」「局部への過度なタッチやオーラルセックスは無理強いしないこと」
 ゆきのことだ。彼女は付き合いはじめ当初から「激しいエッチは好きじゃない」と言っていた。
「そんな女性におすすめなのが、スローセックスです」「挿入後も焦らず、おしゃべりを楽しんで」「女性はパートナーと肌を重ねるだけで幸せを感じる生き物」「早漏の男性にもおすすめです」

 まさに私たち夫婦のために用意されたようなアドバイス。
 セックスレスが解消できただけではない。その後何ヶ月かはまだ挿入時間は短かったし、ゆきも常に受け身だった。それが、妻が涙を流した日をきっかけに、こうしておしゃべりするようになった。

「ん、パパ……そんな単調な触り方じゃだめなんだよ……」
「あ、そうだった。じゃあ今度はこうしてみるね」
「んん……。うふふ……パパってぜんぜんロマンチックじゃない」
「でもゆき、顔に幸せって書いてある」
「だって……幸せなんだもん……」

 休んではキスして抱きしめ合い、家のこと、子どもたちのこと、知人の噂話、他愛もない会話を重ねる。早漏の私でも長時間妻と繋がり続けることができる。

「俺も幸せ……」
「ゆきのほうが幸せだもん……」
「俺のほうが」
「ゆきのほうが」

 妻の柔らかい唇の感触を楽しむ。ぷっくりした半開きの唇から、可愛らしい舌が出てきた。生暖かい吐息が顔にかかる。こんな美人妻からディープキスを求められるなんて。舌を絡めつつ、妻の腰回りの脂肪をぷにぷにする。

「やだぁ……太っちゃったから恥ずかしい……」
「ぜんぜん、ずっとエッチな身体だなって思って見てた」
「もう……そんなこと考えてたの?」
 胸の膨らみを手のひらで包み込む。夢にまで見た、妻の丸い乳房。たぷん、たぷんと弄ぶ。
「ほら、こっちも丸くて柔らかい。大きくなったね」
「恥ずかしいよ……たぷんたぷんしないで……」
「可愛くてエッチなおっぱい大好き……」
「んふふ……んっ……ん……んん……」

  *

「ん…………ん…………ん…………んっ…………ん…………っん…………」

 夫の腰の動きが早くなる。
 さっきから夫はイキそうになっては休みおしゃべりしているが、今度こそ限界だろうか。

「ゆき……大好きだよ……」
「んん……ん……ゆきも……大好き……」

 夫のおかげでゆきは救われた。

 人妻の身でありながらYと恋に堕ち、不義の子を身籠り、堕胎した。
 自己嫌悪、自暴自棄に心を支配されたゆきは、我が身を投げ出すようにしてGやWに抱かれ、不倫という名の自傷行為を繰り返す。
 妻としてのアイデンティティを捨て、せめて母として社会人としての自我を守ろうした。この期に及んで体面だけは取り繕おうと必死な自分の姿は、愚かで滑稽だった。
 ひとりになると訳もなく涙がこぼれる。
 鬱に近い状態、あるいは鬱そのものだったのかもしれない。診てもらったわけではないからわからない。人は心を病むと病院に行く気力さえなくなってしまうのだと知った。

 いまゆきは、身に余るほどの幸せを夫に与えてもらっている。

 セックスレスが解消したあの日から数ヶ月、そしらぬ顔で「夫の妻」の座にちゃっかり戻り、週に幾度かのペースで身体を重ねる。
 秘密は墓場まで持っていくもの、それが夫のため、夫婦のため、家族のため――そんな一丁前の理論武装をする資格など自分にはないと思っている。ただ手にした幸せを失いたくないだけ。どこまでも身勝手で、自分本位な人間。それはわかっている。

 GやWとは、関係を断った。
 最近は会う頻度を減らしていたので、二人ともなんとなく察してはいたようだった。
 Gは例によってさっぱりしたもの。ゆきも心配していなかった。
「またいつでも戻っておいで」なんて笑ってたけど、今度こそそれはないよ、ありがとうと言ってさよならした。


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