投稿小説が全て無料で読める書けるPiPi's World

妻を他人に
【熟女/人妻 官能小説】

妻を他人にの最初へ 妻を他人に 314 妻を他人に 316 妻を他人にの最後へ

裏切りを重ねて (3)-1

「ん…………ん…………んん………………ん…………ん…………んん…………」

 ゆきが私の下で可愛らしい喘ぎ声を上げている。
 四年ぶりに復活した夫婦生活。週末の楽しみだった時間が、最近では週に二、三度に増えてきた。

「喘ぎ声」なんて言ったら妻に失礼か。彼女は昔からそこまではしたない声を上げることはない。清楚なイメージそのままに控えめで可憐な吐息で応えてくれる、そういう女性だ。
 このときのために予習しておいた「ロマンチックなセックスのやり方」でまさかゆきが泣いて喜んでくれるとは思わなかった。そう、あれは嬉しくて感極まった涙。眠いからとかなんとか言い訳していたが、相変わらず嘘が下手だ。あの調子では私にバレずに浮気など一生できないだろう。

 肝心なところはど忘れしたフリをした。なにしろサイトには手淫だのクンニだの、果てはフェラチオのことまで書いてあったのだから。エッチなことを好まぬ妻は、下を触られるのはさすがに嫌がるだろう。ましてフェラチオなんて、私のほうまで困ってしまう。
 恋人時代、口でしてもらったことがあるのだが、私は緊張とコンプレックスで萎えてしまい、微妙な空気が流れてしまった。それ以来私たちの間でフェラチオはタブー。きっとその単語が出ただけで気まずくなってしまう。

 ともあれ、あのサイトでもっと早く学習しておけばよかった。女性はただ気持ちいいだけじゃなく、雰囲気こそ大事なのだ。四年以上におよぶセックスレスは悔やまれるが、しかし誰か他の男に寝取られる前に知ることができたのは本当によかった。

  *

 もともと私はセックスに自信などなく挿入時間も短かったが、子供が生まれるまではそれでも愛し合う夫婦生活を送れていると思っていた。くりっとした大きな瞳を潤ませて「ゆきのこと、好き?」と甘え声で尋ねてくる。「大好きだよ」と答えてやると「嬉しい、ゆきもパパのこと大好き」と言ってぎゅっと抱きしめてくる。
 あまりの可愛らしさに腰の動きを早めるとたちまち快感に襲われる。私の腕の中で「ん……んん……」と小さく鳴く彼女の顔を見つめながら射精する。
 お互いそそくさと自分の性器をティッシュで拭き、パジャマを着る。「気持ちよかったよ」「ゆきも……ありがとう」。キスをして少しおしゃべりして眠りにつく。
 当時はそれで何も問題はないと思っていた。

 子どもが生まれ、夫婦生活が減るにつれ、ゆきの行為中の態度が変わってきた。甘えてくることも、熱っぽい視線を向けてくれることも、自分のことを「ゆき」と名前呼びすることもなくなった。
 知人に相談しネットでも調べた。どうやら出産後の女性にはよくあることらしい。
 いったんは安心したが、二人目が生まれてからゆきの様子は本格的におかしくなってきた。
 日常生活こそ変わらず仲が良かったものの、夜は疲れているからと断られることが増え、たまに受け入れてくれても会話はなく、ゆきの方からキスを求めたり抱きついてくることもなくなった。
 心身ともに余裕のない妻に負担をかけまいと、さっさと挿入し今までにも増して早く射精するようにした。まるで性欲処理のためだけに妻を利用しているようで、それはそれで申し訳ない気持ちになった。

 ゆきが職場復帰するとその傾向はいっそう顕著になり、ついに私は誘うこともしなくなった。
 断られ背中を向けられるのが切ないということもあるが、それ以上に今は仕事を頑張り早く帰宅できるようにし、家のことを公平に分担しよう、そうして妻の負担を減らすことが第一だと考えたからだ。
 ただ、少しずつそれが達成できるようになったころ、逆にゆきの仕事が忙しくなったりと、私たちの夫婦生活は噛み合わなかった。

 ある年の年末年始など、時短勤務にも関わらずしばしば残業が発生したり、休日に職場から電話がかかってくることもあった。幸いにしてそんな時期はひと月ほどで終わり、妻は友人と二泊三日の旅行に出かけられるまでになった。
 彼女の帰宅後、少し期待してしまった私は抱きしめてキスしようとしたが「疲れてるから」と逃げられた。
 当たり前である。
 とにかく私は間が悪い。この旅行帰りのときしかり、その少し前には飲み会後――しかも電車トラブルで帰宅は翌日昼――で疲れているときに誘ってしまったりして、拒否される。
 ゆきに申し訳ない。こんな男とセックスする気にならないのは無理もない。

 自らの身勝手を反省した私は、セックスしたい欲はいったん封印した。三十を越え、いっそう熟れていく妻の身体を横目に、家事と仕事の両立、そしてマスターベーションに励んだ。

 妻もときに、大人のおもちゃを取り出し自慰を行っているようだった。
 余談になるが、恋人時代、「ゆきちゃん」の一人暮らしの部屋でバイブを発見して以来、彼女の性玩具の隠し場所や隠し方からオナニーの痕跡を発見するのは、私の日課になっていた。今までに購入したバイブ、ディルド、ローターなどもすべて把握している。インテリアにもなると評判になったおしゃれな「セルフプレジャーグッズ」はゆきには合わなかったようで、購入後すぐ放置されているのも知っている。

 いつの日かまたセックスできる日を夢見る生活はしかし、それなりに我慢の日々であった。
 妻の小さくつんと張っていた胸や尻の膨らみは歳を重ねるにつれ丸みを帯び、腰回りや太ももはちょうどいい塩梅に肉づいていた。それでいてすらりとした体型に変わりはなく、透き通るように白い肌も昔のまま。
 澄ましていれば美人妻、ころころ笑えばいまだ美少女のような幼さを垣間見せるゆきに、私は指一本触れずにいた。


妻を他人にの最初へ 妻を他人に 314 妻を他人に 316 妻を他人にの最後へ

名前変換フォーム

変換前の名前変換後の名前