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こいびとは小学2年生
【ロリ 官能小説】

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算数の宿題-3


 ペットボトルから口を離してふぅー、と息を吐いたしのちゃんの左肩をそっと抱き寄せる。しのちゃんの細い肩の肌はすっかり日焼けしていて、その表面はまだ汗でうっすらと湿っている。
 しのちゃんも俺の左胸に頭をもたれかけてくる。ペットボトルを持った右手の上を横切るように伸ばした左手で俺の膝の上の右手の甲をきゅっ、と握る。しのちゃんに告白したとき以来、はるかぜ公園ではこんなふうに身体を寄せ合ったりしたことが何度かあるけれど、人目をはばかりながらだからいつも短時間の密接で終わっていた。でも、ここには俺としのちゃん以外誰もいない。しのちゃんが自分から身体を離すまで、ずっとこうしてしのちゃんを抱き寄せていることができる。お互い無言のまま、ポリエステルの薄手のTシャツの胸元にしのちゃんの小さな吐息を感じながら、時間がゆっくり過ぎていく。二人っきりの自室で、言葉はなく、ただ互いの身体のぬくもりを確かめ合うだけの、「こいびと」と過ごす至福の時。
 こういうのを「ムードが高まる」っていうんだろうか。もしひととおり済んでいるカップルなら、ここでゆっくりとベッドに二人倒れ込んだりするんだろう。しのちゃんにももしかしたら、二人しかいない部屋の中、というシチュエーションに幼い愛欲が芽生えているかもしれない。そう、前回キスを―それもしのちゃんにとってのファーストキス―求めてきたのだってしのちゃんのほうからだし、俺の胸に顔を埋めて眠ってしまったのも、「あまえんぼさん」したかったのと同時に「こいびと」の身体にぴったりくっつきたいという、性愛の最初のステップを無意識に行っていたのかもしれない。
 急になにかを飲みたくなった。冷蔵庫からQooと一緒に出したアイスコーヒーを置いたパソコンデスクは、この位置からは手を伸ばしても届かない。でも、しのちゃんの身体を、俺のほうから離すことはしたくない。
 ふっ、と、しのちゃんが顔を上げた。うつむくようにしてしのちゃんを抱き寄せていた俺の顔の至近距離に、しのちゃんのちっちゃな顔がある。あとほんの少し俺が寄れば、キスできそうなくらいの近さにあるしのちゃんの顔。

「なんか、こいびとみたい……」

 しのちゃんの唇が小さく動く。

「だって、こいびとじゃん」

「そうだね、ふへへ」

 笑うしのちゃんの唇の間から、人工的なみかんの匂いが混じった息が漏れる。かすかに湿ったしのちゃんの唇。抱き寄せる8歳の身体の幼い温もり。
 俺を見上げるしのちゃんの瞳が、心なしか潤んで見える。

「お兄ちゃん……」

 なんだい、しのちゃん。俺の中でなにかへの期待が高まる。

「あのね、お願いがあるの」

 俺の胸のバスドラがどくん、と一発鳴る。


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