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愛欲の日々 -心と身体-
【熟女/人妻 官能小説】

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聡美(二.)-1

 パートの仕事にもすっかり慣れ、二年ほどが過ぎ去ったある日、新人がふたり入ってきた。
 一人は地元の大学に通う女子大生で、もう一人はその女子大生とはちがう大学に通う青年だった。
 青年は名前を前田悟志といった。書く字こそ違えど、息子と同じ名前のその青年に、聡美は不思議と親近感をおぼえた。
 前田はボサボサに伸びた髪の毛をうしろで束ね、顎には無精ひげをはやしていた。野性的な顔立ちとあまり清潔感のない出で立ちのため若い子にはウケが悪そうではあったが、ほっそりとした体躯は高身長で、なにより手脚はモデルでもつとまりそうなほど長かった。
 新人教育には佐々木さんが女子大生を担当することになり、前田は聡美が担当することになった。
 最初のうち前田は無口で陰気な雰囲気を漂わせていたが、聡美が「わたしの息子と前田くんの名前って同じ名前なのよ」と紹介すると、前田もようやく少し打ち解けた感じになり、ぽつりぽつりとしゃべるようになった。仕事の覚えもはやく、一週間も経たないうちに聡美の力を借りなくてもすべての業務をこなせるようになっていた。
 そしてちょうど一ヵ月が経つ頃、新人の歓迎もふくめパート全員で飲み会が開かれることになった。
 送迎係には聡美と佐々木さんが担当することになっていた。その日聡美は事前に夫の許可を得て、乗用車で居酒屋へ向かった。
 飲みの席は盛り上がったものの、前田だけはあまり周囲に溶け込もうとはせず、端の席で静かに酒を飲んでいるだけだった。それを見かねた聡美は、前田の隣の席にすわると、息子や娘のこと、それから趣味のことなどを一方的にしゃべった。前田はだまって聡美の話を聞くだけで、自分のことは話そうとしない。それがよりいっそう前田の存在をミステリアスに見せていた。


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