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妻を他人に
【熟女/人妻 官能小説】

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裏切りを重ねて (2)-4

「パパ?」
「何?」
「エッチのやり方、予習したんでしょう?」
「したよ」
「次はどうするって書いてあったの?」
「……忘れた」
「え?」
「ゆきがあまりにも可愛すぎて……興奮しすぎて忘れちゃった……」
 ゆきはまた吹き出した。なにこの人。〇点だけど、百点満点の回答。
「忘れちゃったの……? 可愛い! パパ……!」
「いたた……ゆき、ぎゅってし過ぎ」
「だってパパ、可愛いんだもん」
「ひょっとしてゆき、自分が可愛すぎって言われて喜んでる?」
「そ、そんなことないもん……!」
「やっぱりそうだ。ほら、耳まで赤くしちゃって。あぁもうゆきこそ可愛すぎる……!」
「べ、別に……ほらそれよりどうするの、あ、な、た……?」
 見つめ合い、笑い合う。
「どうしよう」
「どうしましょう」
「あ、あの……」
「……ん?」
「ゆきごめん……!」
 夫が急に荒々しく覆いかぶさってきた。
「実はもうさっきから我慢できなくて……!」
「ぁん! パパ、ちょっと、痛い……」
「あ、ごめん……まだ濡れてなかった」
「さっきまで濡れてたはずなんだけど。パパが変なこと言うせいで乾いちゃったみたい……」
「ゆき……ほ、ほんとにごめん……」

 YくんやGくんはもちろん、Wさんのときでさえこんなことはない。
 マニュアルがなければ所詮この程度。女性の扱いが下手すぎる。本当にだめな人。でも――。

「パパ謝らないで。ゆき、今楽しいよ? パパともっとこうしてたい。おしゃべりしたり笑ったりしながらエッチするの、すごく楽しい」
「あ、それサイトにも書いてあった。女性は挿れて出すだけじゃ楽しくないって」
 まったくすごいサイトだ。感謝したい。
「じゃあもういっかい気を取り直して最初からしよ? ほら、まず頬を撫でて見つめるんでしょ?」
「あ、はい」
「髪は撫でなくていいの?」
「撫でます」
「優しくだよ」
「はい」
「それからどうするんだっけ?」
「あ、はい、すみません」

 ゆきの心は幸せに包まれていた。一番セックスが下手な男性と、一番満ち足りたセックスができている。その相手が夫であることが、ゆきは何よりも嬉しかった。

「パパ、今日は誘ってくれてありがと…………」



  *  *  *



## 番外編:美魔女グランプリ・ネットの反応(後編)

「ちょっとパパ……? いいやつだけって言ったよね……?」

 巨大掲示板のあまりに下品な書き込みにショックを受け、夫の読み上げを制止するのをつい忘れてしまっていた。

「え? 全部褒め言葉じゃん」
「は? どこが? エッチなコメントばっかりじゃん! それにまた臭そうって……ひどい!」

 そうだった。ここの掲示板の人たちはなぜか私のことを臭いと勘違いしているのだ。写真や動画しか見てないくせに。美人がちょっと匂うのは男のロマンだと夫は熱弁するが意味がわからない。自分の奥さんが臭そうとか言われて腹が立たないの? 一緒に怒ってほしい。
 それにむちむちとかパツンパツンとかハミ肉とかだらしない身体とか、トレーニングでシェイプアップしたのにそんなこと言うなんて酷い。ババアとかあそこの毛が濃いとか、その他、言葉に出せないようないやらしいこと、根も葉もない噂もたくさん書かれている。

「どれどれ、確かめてみよう……うーん、たしかにちょっと匂う……」
 私の腋の下に顔を埋め、匂いを嗅ぐ夫。
「ん……! もう……ひどいよパパ……」
「お、ゆき。また着信だぞ。彼氏か?」

 さきほどから麗美、華子、真由をはじめ、同期女子のグループメッセージ着信音が鳴り止まない。

「ゆきーー見たよーー! めっちゃ可愛く撮れてるじゃん!」
「さっそくゆきに一票入れたよ。てかもう断トツだね(汗)さすがすぎるよー!」
「水着似合ってた! スタイルいいねー!」
「あんたいつの間に少し痩せた? ずる」
「それな。クッソいい女すぎて吹いたわ」
「さすが歩く女子アナ」
「女子アナは歩くだろ」
「自己PRが一生懸命って感じで好感度UPよ」
「ちょっとゆき、なにインタビューで照れてんのー? 可愛いすぎない?」
「あざとい……これはあざとい……」
「会社いるときとちょっとキャラ違うよね……」
「メスの顔をしている」
「あんた、こんな顔できたのね」
「しゃべり方も少し甘ったるいわ」
「あー、でもOくんといるときこんなだったかもー」
「残業中ショートケーキあーんしてちちくりあってたときだろ?」
「そうそう! あのとき『あ、ゆきも女の子なんだなー』って思った!」
「なるほど、これがあんたの『惚れさせ顔』ってわけね」
「大学サークルにこんな子いたら波風立ちそう」
「すでにあんた女性票伸び悩んでるわよ。もっと頑張りなさいよ」
 美魔女投票では任意で投票者の性別を入力できる。
「わはは。そういうとこまで女子アナに寄せなくても」
「それでも男女とも一位なのね」
「男性票が圧倒的すぎる」
「うちの旦那、目がハートになってたので軽く絞めておきました」
「いやこれは旦那には見せられん」
「R指定ね」
「放送禁止」
「Oくん羨ましいわね」


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