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愛欲の日々 -心と身体-
【熟女/人妻 官能小説】

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智司(四.)-1

 翌朝、その日も家族四人が全員そろっての朝食であったが、姉はおそるべき速度でトーストを食べ終わると、そのまま何も言わず家を出て行った。
 あとに残った智司と両親は少し気まずい空気になりながらも、やがてぽつりぽつりと会話が再開され、気がつけばいつもの朝食の風景にもどっていた。
 そのあいだ、智司は何度も父の顔を見た。いつ、母の隠し事をぶつけてしまおうかと機会をねらっていた。でも結局できなかった。大人の世界に踏み込むには、まだまだ勇気と心構えが足りない気がしたのだ。
 それに、まだ確実に母が不倫をしていると決まったわけではなかった。あの避妊具の箱にしたところで、たまたま父と行為をしたときに入れっぱなしにしてあっただけという可能性もある。
 智司は次第に、母の不倫相手をつきとめてやりたいという衝動に駆られるようになった。それは単なる好奇心だったのかもしれないし、その一方で、母がそんなことをするはずがないと信じたい気持ちもあったのかもしれない。
 ただ、もし本当に母が不倫をしているのだとすれば、自分でその証拠を集め、あとは父に裁量をゆだねるべきだと考えたのである。
 そこで智司は、学校の休日や部活動が休みで早く下校する日などに母の勤務先に立ち寄り、客を装ったまま店内を観察し、また退勤時間になると従業員通路につながる出口付近にある建物の影で待ち伏せ、母に近づく男がいないか、怪しい行動をしていないかどうか監視した。そしてその現場を捉えたらすぐにでも証拠の写真が撮れるようにスマートフォンを構えながら、目を皿のようにして母の周囲を見張った。
 本来ならこのようなストーカーまがいな行為はしたくはなかったのだが、ほかにこれといった方法も思いつかなかったので仕方がない。
 母の勤務態度はきわめてまじめで、誰かと私語をすることもなく、たまに話しかけられても、それは商品の場所をたずねにくるお客さんのみで、母はにこやかな笑顔で対応した。
 退勤時間になってもとくにおかしなところは見当たらず、いつも仲のよい佐々木さんといっしょに談笑しながら近所のスーパーに立ち寄り、それから寄り道もせず自宅に帰るだけだった。
 つぎにスポーツクラブでも同じように母の動向を監視してみたのだが、こちらはそもそもクラブの会員ではないため中に入ることすらできないので、建物の出入り口付近でずっと見張ることしかできなかった。
 もっとも結果だけを言ってしまえばこれも空振りで、母はいつも佐々木さんといっしょにいるか、たまに一人で出てくることがあっても、その後おかしな行動はなにひとつ見られず、まっすぐに自宅へ帰るだけだったのだ。
 そうこうしているうちに月日は流れ、智司は母にべつの男がいると考えたのは勘違いだったのではないかと思うようになっていた。それほど母の普段の行動は清廉潔白で、夫以外の男とふしだらな行動をしているようには見えなかったのである。
 さらに、自宅においてもそれ以降、不倫の証拠や気配らしいものが見つかることはなく、ただ姉と母が不和なことを除いては、外部から見てもこの家庭がそのような問題を抱えているようには見えなかったように思う。


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