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妻を他人に
【熟女/人妻 官能小説】

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裏切りを重ねて (1)-1

 一ヶ月に渡るYとの関係が終わり生活は元に戻ったが、ゆきの心は元のとおりとはいかなかった。

 情熱的に愛し合った日々を思い出し、自らを慰める。一人ぼっちの寂しさを紛らわすため、二人の「結婚指輪」を嵌めながら。
 深夜のトイレで、休日昼下がりの寝室で、股間の茂みに手を伸ばし、潤った花弁に性玩具を差し挿れた。バスルームでシャワーを股間に押し当てることもあった。Yのいなくなった今、育児と仕事に忙殺されるゆきの心にはぽっかり大きな穴が空いていた。

 夫とはもうこのまま愛し合うことはないのだろうか。いつから彼との夫婦生活をおっくうに感じるようになってしまったのだろう。
 夫は転職前後より常に忙しく、家事育児にあまり参加できない上に、自分本位なセックスだけは求めてきた。小さくて早漏のくせに前戯や後戯で妻をもてなすこともせず一人満足して寝てしまう彼に、何度ため息をついたことか。
 ゆきはいつしか夫の求めを拒絶するようになる。もちろんセックス以外では仲の良い夫婦だとは思っている。夫が昔と変わってしまったわけでもない。わかってはいるが、満たされぬ想いはどうしても拭えない。

 そんなゆきの心の隙間にするりと入り込んだのがYだった。
 ゆきはこの職場の後輩男子にほのかな恋心を寄せるようになり、ふとしたきっかけでその恋は成就してしまう。元来がしっかりした貞操観念を持つがゆえに夫以外の男と愛し合う罪悪感に押しつぶされ、貞淑であるがゆえに不貞な自分から目をそらそうと、毎日彼と身体を重ねた。
 心にずしりと重しを抱えたような日々。開放されるのは、唯一Yに抱かれているときだけ。最低で最高な一ヶ月。
 折しもこの時期夫の仕事は落ち着き始めていたので、家のことを心配せずに済んだ。夫に家事を任せ、自らは不倫に勤しむ。いいではないか、このくらい。ほんの一ヶ月なのだから。ゆきの心は荒んでいた。

 初めて彼と結ばれた夜、避妊せず中出しを許した。一応は安全日のはず、という程度のあいまいで危険な橋を渡ってでも、刹那的な悦びに身を堕とすことを選んだ。運良く、妊娠はしなかった。
 ひと月後、彼との最後の二泊三日でまた、中出しを許した。いや、懇願した。今度は安全日から少しずれていることを知っていたが、ゆきにはもう、冷静な判断ができなかった。ただ、欲しかった。好きな人のすべてを。恋人と愛し合ったたしかな証を。

 その結果、妊娠した。

 当たり前である。まるまる三日間、何十回も膣内へ射精され、子宮に精液を注ぎ込まれ続けたのだから。
 妊娠の事実はYにも告げず、もちろん夫にも秘密で、ゆきはひとりで堕胎した。中絶の同意書に配偶者欄を見つけてどきりとした。人妻でありながら夫以外の男性の子を身籠ってしまった愚かさを突きつけられるようだった。男性の筆跡を真似て、夫の名前を記入した。涙が出た。

 表面を取り繕うのに精一杯の日々。小さな頃から優等生だったゆきには、ただでさえ気の休まるときがない。完璧な母、完璧な妻、完璧な社会人を演じ続けてきた。でももう、「完璧な妻」じゃなくなった。もういい。もうやめた。
 本当は今でも、夫と愛のあるセックスをしたい。
 昔は出来ていた。抱きしめ合い、キスをする。全然気持ちよくないけど、気持ちいい。そんな夫婦生活をもう一度送ってみたかった。
 でももう無理。あの人では、そんなの望みようもない。

 皆が言う。
「ゆきってさ、幸せだよねー」
「優しい旦那さんに可愛い子どもたち」
「仕事もプライベートも超充実」
「おまけに本人はいつまでも若々しい美人さん」
「完璧すぎん?」
「腹立つわぁ」
「妬ましいわぁ」

 そうだよね。私って幸せだよね。誰よりも幸せなはずだよね? なのに一人でいるとき、訳もなく涙がこぼれる。オナニーの頻度が増した。気持ちいいのに、気持ちよくない。

 こんなの全然、幸せじゃない。

  *


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