俺のM女調教日記(30)-1
そこは、近くの洒落た喫茶店だった。
俺はさり気なく言った。
「先ほどの絵画は素晴らしかったですね」
「はい、私はあの絵の中の女性のように美しくなりたいです」
その彼女をよくみると、上品そうで美しい女だった。
少し栗色の長い髪の毛を
後ろでまとめた爽やかな感じがした。
「いやいや、貴女だって美しいではありませんか」
「あら、そうでしょうか。なかなかお上手ですのね」
「えっ? 何がですか」
俺は惚けて言った。
「うふふ、いえ……何でもありませんのよ」
「あはは、そうですよね」
こうして俺と彼女とは自然に打ち解けていた。
後で彼女が言うには、
夫との会話も途切れて寂しい思いをしていたと言う。
その時の、俺が声をかけてくれたことが
とても嬉しかったらしい。
「あの、失礼ですが、奥様ですよね」
「はい、あまり若くはありませんが」
そう言って彼女は苦笑した。
「いえいえ、私もそんなに若くありませんよ、あはは」
そんな他愛のない会話が続いていた。
そして、彼女は少し真顔になり、俺に聞いた。
「失礼ですが、あの 絵のように
女性を美しいと思ってご覧になっているのでしょうか、又は好奇心で?」
「まあ、そうですね、もちろん、裸の女性は美しいと思いますが
好奇心がないわけではありません」
「はあ、そうでしょうね、男性ですもの」
「おやおや、男性にも理解がおありのようで」
「いえいえ、そのような事はあまり……男性をよくは知りませんので」
その時、彼女は意味深な言葉を言った。