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お江戸のお色気話
【その他 官能小説】

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お江戸のお色気話、その10-4

大きなな銭湯では、男に媚びを売る為にこっそりとやってくる女房や
それをあてにしてくる男も少なくない。
女は良い男を見つけると近寄って来て、気が合うと仲良くなり安宿に連れ込む。
そこで男から金を貰ったり、
最近相手にしてくれない夫の代わりに、快楽を求める女もいる。

まさに、大きな銭湯は夜の男女の社交場ともなっていた。
夫に相手をされないカミさん達は、その欲求の不満を銭湯で解消していた。

その夜、人妻のおとよは夫が酒を飲んで寝てしまった後、
一人で風呂屋にやってきた。
おとよは男好きのする中年女だが、その身体は熟女の色香を漂わせていた。
当然、そこは混浴であり、浴槽には男も女も同じ湯に浸かっている。

そのとき、おとよの前にひとりの色男がいた。まだ若い。
さっそく、おとよは男に声をかけた。

「あにさん、よくこちらへ?」
「そうですね、仕事で汗をかいたのでそれを流しにね」
「お一人ですか?」

そう言うと、おとよは目を細めながら、男に近づいて来た。
近くにはあまり人がいないので、おとよは大胆になっている。

「そうですが」
「そう……」

おとよはいつのまにか、さり気なく男にピッタリと体を寄せている。
「好きなお人はいるのかしら?」
「いえ、とくには」
「そうですか、お仕事は?」
「はい、絵を描いています、浮世絵ですが、売れていません」
若い男は苦笑していた。
「では、お名前を聞いてもいいかしら」

「歌川茂也と言う、売れない絵描きですよ」
「そうですか、女の裸は描きますか?」
「はい、あまり描きませんが、版元から依頼があるときには」
「そうですか、今度、機会があったら買いて欲しいです」
「はい、そのときには」

「ところで、あらっ……湯あたりかしら、ちょっと 少し目眩が……」
そう言って、おとよは色目を使いながら男に身体を絡めてきた。
男は心配そうな顔をして、おとよを抱いた。

「あん、もっと優しく抱いてくださいな、あにさん」
「はい、では風呂からでて休みますか?」

さきほどから、男は豊満な女にピタリと身体を密着されて、
いつのまにか股間が熱くなっていた。
男には、この女がわざと近づいてきたのが分かっていた。

浮世絵師として、女はいつも見ているので
そんなに驚くことでは無いが、
女の結局的なことに少しばかり驚いていた。

湯の中で、おとよは男の固くなっている陰茎に股を擦りつけてきた。
「このまま、ずっと」
「湯あたりは、大丈夫ですか?」
「は、はい……こうして優しく抱いていてくだされば……」
「分かりました」
おとよは男に優しく抱かれながら、男の顔を見つめた。

若い男は、歌舞伎役者のように美しい顔をしていた。
「あの、もっと顔を見せてくれますか?」
「えっ……こうですか?」
男は顔を女にさらに近づけていた。
女は男の顔を手で包み込み、そっと唇を重ねた。
「あっ、奥さん……」




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