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伊藤美弥の悩み 〜受難〜
【学園物 官能小説】

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恋人達の悩み7 〜Summer Vacation〜-9

 先程の情事で、美弥の爪が刻んだ証である。
 言うまでもなくこれは傷で、アルコールと塩分は傷にしみるものだ。
 そして海水は、当然ながら塩分を含んでいる。
「ごめんなさ〜い……」
 猛省する美弥の頭を、龍之介はぽんぽん叩いた。
「いいよ。気にしない」
 それより、と龍之介は付け加える。
「肌、焼くの?」
 日頃からお肌の状態に気を使っている美弥が今日ばかりは焼くのかと、龍之介は先程から興味津々だった。
 白くてもっちりした肌も日焼けして小麦色の肌も、どちらも自分の目を楽しませてくれるのだろうが。
「あ!」
 言われた美弥は慌てて、クーラーボックスを開ける。
 クーラーボックスの中身はたっぷり詰め込まれた氷と各自の飲み物、それに日焼け止めクリームだ。
 起こりうるであろう不快なトラブルを未然に防ぐために荷物は最小限にし、財布は留守番が管理する事で合意している。
 財布の中身は、みんなで出し合った現金だ。
「んしょっ」
 美弥は日焼け止めクリームを取り出すと、体に塗り始める。
「……貸して」
 龍之介は日焼け止めクリームを借り受けると、美弥の手がきちんと届かない範囲……背中へ塗り始めた。
「あ、ありがと……」
 何となく照れてしまい、美弥は頬を赤くしながら呟く。
「いいよ。まだらに焼けたくないでしょ?」
 龍之介は微笑むと、パレオを留めている結び目に指をかけた。
 はらりと、足を覆っていたパレオが落ちる。
 腰を隠す布地はやや小さめで、体型に見合ったちょうどいい長さと肉付きの足を、すんなりと見せていた。
「ひゃっ」
 龍之介の指が、腰骨を伝って臀部近くまで撫で下りる……いや、日焼け止めクリームを塗り広げる。
 手がそのままビキニの中にまで入ってきそうだったため、美弥は腰をよじって嫌がった。
「やだ龍之介、やらしいっ……!」
「そりゃそうさ。僕、すけべだもん」
 龍之介はさらに日焼け止めクリームを搾り出し、美弥の背中をあちこち触る。
「ちょっとぉ……!」
 もはや日焼け止めクリームを自分で塗る事よりも、龍之介の手から逃げる事を考えねばならなかった。
 だが龍之介は美弥の腰に腕を回して動きを封じ、鼻歌なんぞ歌いつつ日焼け止めクリームを足の方まで塗り始めている。
「やあっ……!」
 指先が膝を割って内股を撫でたため、美弥は逃げようとあがいた。
 龍之介の手はナンパ男Cの手なぞ比べ物にならないくらいに気持ちいい事は、心も体も嫌になるくらい承知している。
 が、だからといって家族連れもたくさんいる浜辺で前戯のような指使いで日焼け止めクリームを塗られるというのは、どう考えても褒められたモノではない。
 周囲を見回せばいちゃつくカップルは腐る程いるが、小さなお子様の教育に悪影響を与えそうなくらいのカップルは見当たらない。
 自分がそれに該当しそうだというのは、美弥にとってはなはだ不本意な出来事だった。
「っん……!」
 周囲の人間に気付かれないよう、龍之介の指がビキニの上から秘部を撫でる。
「そういう事は夜にしてよっ」
 小声で抗議してから、美弥は真っ赤になった。
 後でたっぷりしてね、と宣言してしまったのである。
 その意味を龍之介はしっかり汲み、ニヤニヤ笑いながら耳元に唇を寄せた。
「じゃ、お楽しみは夜にね」
 
 
 その夜。
 夏の海を満喫した六人はコテージに戻り、潮気を落とした。
 そして仲良く夕食を囲んだ後、それぞれの部屋に引き上げてまったりするのもお風呂に入るのも後はお好きに、という状況である。


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