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女子中学生 辱めの部室
【学園物 官能小説】

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復・讐・部・室-1

 3人の苛烈なまなざしと、この部屋に漂う険悪な空気は、それだけでみさきを怯えさせるのに十分だった。

 身を竦ませるみさきに向かって、瑞華は威圧的に迫る。そしてやおら彼女の可憐な顔を平手で張った。
 ピシャリという音とともに、みさきの真っ白な頬に、赤い跡が痛々しくも残された。

「あ……」
 みさきは痛みに頬を押さえつつ、唖然となる。彼女は生まれてから今までまともに暴力なんて振るわれたことがない。父も、亡き母もずっと優しかったし、体罰を加えるような教師にも、悪い同級生にも出会わないできた。それだけに、痛み以上にショックと屈辱は大きかった。しかも、なぜ瑞華がこんな酷いことをするのか、まったく訳がわからない。自分と同じ女の子が、こんな暴力を振るうこと自体が信じられなかった。

 恐怖に震え、すでに泣き出しそうになっているみさきに、瑞華は凄むような口調で問い詰めた。
「あんた、自分が何をしたか分かってる?」
 それはみさきこそが訊きたいようなことだった。だが彼女が何か言葉を返そうとする間もなく、瑞華は激しいまなざしとともに断罪してきた。

「よくも、あたしたちの西永くんの心を弄び、踏みにじってくれたわね」
 それに続くように、朝菜と公江からも、糾弾の言葉が浴びせられた。
「あんたのせいでこの前の試合、西永くんは負けたのよ」
「西永くんの青春を台無しにしたのはあんたなの」

 最初、みさきは何が言いたいのかわからなかった。確かにこの間、彼女は浩介の告白を断っている。でも、それは正直に自分の気持ちを伝えただけだし、どうしてそれが彼の気持ちを弄んだことになるのか。それと試合の負けとがどんな関係があるのか、皆目わからなかった。

「あの、それ、どういうことでしょうか…?」
 みさきはおずおずと尋ねた。

「とぼけんじゃないよ。あんたのせいで西永くん、絶不調になったんだから」
 瑞華に凄まじい剣幕で詰め寄られ、みさきにも少しずつ事情は呑み込めた。

 でも、どうして自分が悪いと言われないといけないのか、みさきには解せなかった。彼女は自分の気持ちを正直に伝えただけなのだ。
「そんな、私はただ……」
 何とか弁明しようとしたみさきだったが、瑞華が言葉を遮った。

「そう、なんにも反省してないんだ。西永くんを誘惑しておいて、最低な女だわ」
「誘惑なんて、私は何もしてません……」
 当然のことだが、みさきは何もしていない。彼女のほうから浩介のことを気にかけ、近づこうとしたことなんて全くない。2年で同じクラスだったとはいえ、事務的な用件で話したことぐらいしか覚えていない。

 告白されたとき、ただただ驚くだけだった。
 自分が可愛い女の子だと意識したことなんて全然ない彼女は、どうして浩介に気に入られたのかさえわかっていなかった。浩介は美人だと褒めてくれたが、まったく実感もわかなかった。
 内気で奥手で、男の子に気に入られようと何かするなどみさきはまだ考えたこともない。事務的な用件以外では、そもそも男子と話すこと自体が稀といっていい。

 世間話には疎いみさきは、浩介が学校のヒーローとして、多くの女子たちにもてはやされていることすら知らなかった。転校して半年強で、まだ友達も少ない事情がそれを手伝った。浩介の方から告白されるなんて実はとんでもないことだったとは、彼女には思いもよらないことだったのだ。

 だが、瑞華たちはそんな事情などお構いなしだ。
「そんな可愛い顔して、何が誘惑してないのよ」
 彼女らからすれば、浩介に好かれたこと自体が許しがたいのだ。浩介が惹かれるほどの可愛さ。それ自体が、誘惑に等しいとでも言うのだろう。

「そうしておいてコクられたら断るとか、思い上がるのもいい加減にしてよね」
 みさきからすれば無茶苦茶な言いがかり以外の何ものでもない。仮にみさきが告白を受け入れていたとしても、彼女らはやはり同じように妬んだだろう。

「あんたが誑かしたりしなきゃ、西永くんはあの試合にも勝って、地区優勝だってできたんだから。それをぶち壊し、あたしらの思いまで踏みにじったあんたは、全校の西永くんファンの最大の敵なのよ」
 瑞華自身、今回の件であからさまにみさきを憎んでいるような子を実際には他に見かけていない。けれども彼女にしてみれば、自分の意志は全校の浩介ファンの総意に等しいとでもいうのだろう。



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