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妻を他人に
【熟女/人妻 官能小説】

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人妻の浮気心 (1)-4

「ふう、やれやれ」
 トイレで放尿しながら私は大きく息をつく。

 ゆきの悲鳴で隣人たちが顔を出し、警察に通報までされる事態となった。もちろん誤解はすぐ解けたのだが、なぜ真っ暗な中ぼーっと突っ立ってたのかと問い詰められ「いや、その、ちょっと彼女を驚かそうと」と下手くそな言い訳をしたら案の定非常識だと警察に責められ、ゆきにもなじられ、さんざんな目にあった。しかし言えないではないか。「彼女のバイブ発見しちゃったので見ないことにして帰宅するところでした」とは。

 そう、今も「あれ」はゆきのベッドの上にある。ゆきが居室に入ればすぐに気がつくだろう。いや、気がついてくれ。そして片付けてくれ、私がトイレにいる間に。せっかく私が、「実は俺も『今来たばかり』でさ。『今来たばかり』でトイレ行きたかったのに警察が来て我慢してたからもう限界。えーっと、トイレトイレ……」などとわざとらしくつぶやきそそくさトイレに入ったのだから。すなわち今来たばかりで居室には入っていない。だからバイブも見ていない。だから今すぐ片付ければ大丈夫というメッセージである。どうか私のメッセージを正しく受け取ってほしい。

 キッチンで何かを洗う音が聞こえてきた。ジャブジャブ、カチャカチャ、ゴシゴシ、ひどく慌てている。続いてクローゼットをバタンと開け、ガサゴソしてまた閉める音。いつもしっとり落ち着いた雰囲気を醸している彼女にしては珍しいドタバタが、ちょっと可笑しい。うら若き乙女の尊厳を守ろうとした私の機転は、どうやら無駄にはならなかったようである。
 トイレを出ると少し不安げな表情のゆきがいた。

「ねえ、Oくん?」
「なに?」
「今日来たとき、私の部屋、見た?」
「え? 見てないよ? 俺もホントに今来たばっかりだし」
「そう……」
「な、なんで?」
「ううん。なんでもない。下着とか出しっぱなしだったから見られてたら恥ずかしいなって」
「あーー、そりゃ見たかったな。もっと早く来ればよかった」
「むーー!」

 頬を膨らませながらも、どこかホッとしているように見える。やはりこの清楚で可愛らしいOLと極太バイブ公開オナニーはどう想像しても結びつかない。

「ねえ、Oくん?」
「なに?」
「私大事なこと忘れてたんだけど……」
「?」
「ただいま……!」
 ゆきが嬉しそうに飛びついてキスしてきた。
「んん……! お、おかえり……!」

 もうすっかり普段のゆき、いつもの私たち。
 しかしゆきの「秘密」を知って初めてのキスは、いつもと少し違う味がした。


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