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妻を他人に
【熟女/人妻 官能小説】

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人妻の浮気心 (1)-3


  *  *  *

## 番外編 美人OLのエッチな習慣 (後編)

(続き)
 仕事終わりに立ち寄った恋人の部屋で偶然見つけた使用済みバイブ。部屋の主は残業でまだ帰宅していない。
 前の晩に使用したまま寝てしまい片付け忘れたまま出社したのか、ベッドの上に無造作に置かれていたそれを手にとってよく見ると愛液やオリモノらしきネバネバした液体や陰毛が付着している。

 バイブをよく見ると筋張ったリアルな陰茎に、「正」の字が書き込まれている。なんだこれは? 本体が黒なのですぐには気が付かなかった。陵辱モノの成人向け漫画でよくあるのは女性の体に「正」の字を書いて、その女性が性処理に使われた回数をカウントするというものだが、ではバイブの場合は自慰をした回数か。陰茎全体にびっしり書き込まれているのを泣きそうになりながら数えると七十八回だった。おまけにところどころハートマークも書かれている。ハートマークは十四個。いずれもゆきが自分で書いたとは思えぬ、まあ要するに男の筆跡である。
 まさか男の前で? そんなバカな。それこそアダルトビデオの世界ではないか。ハートの意味は? 「正」の字と何が違うの? 不吉な想像しか湧いてこない。考えてはだめだと思っても考えずにはいられない。職場の華のゆきちゃんが、男の前で極太バイブ公開オナニーを行っている姿のインパクトが強すぎて頭から離れない。
 セックスに関しては私と同じくらい奥手と信じていた恋人の意外すぎる一面に私は衝撃を受け――まったく理不尽な話だが――裏切られたと感じてしまった。焦り、戸惑い、怒り。混乱の中、私は下半身を露出しはちきれんばかりに膨張した陰茎を握りしめ、オナニーして果てた。

 射精しても、まだ収まらない。
 理不尽な怒り、背徳的興奮、反り返るペニス。

 匂いを嗅いでみたい――しかしちょっと怖い。なにしろ今まで女性の局部など舐めたことも匂いを嗅いだこともない。それでも甘美な誘惑に負け恐る恐る鼻先を近づける。まるで「ゆきちゃん」にクンニするようで興奮する。恋人が照れて恥じらう顔を思い浮かべながら、彼女特有の甘い花の香りを思い浮かべつつ、意を決し鼻からすぅと匂いを吸い込んだ――。

 つんと鼻を突く異臭に思わず顔を歪めてしまった。なんだこれは。なにかの間違いかと思いもういちど嗅ぐ。臭い。鼻が曲がる。「ゆきちゃん」の可憐で清楚なイメージが崩壊していく。もう一度。やはり臭い。これが女性器の匂い。生まれてはじめて嗅ぐ「まんこ」の匂い。嗅いでしばらくは鼻の粘膜にへばりつきまとわりつくような、濃厚な酸味臭。チーズ臭。しかしなんだろう。もういちど嗅いでみる。くんくん。臭いのにまた嗅ぎたくなる。すぅぅうう。興奮をもよおす香り。もう一度、今度は胸いっぱいに匂いを吸い込んでみる。癖になる刺激臭。
 ああ、もうだめだ。へばりついた粘液や陰毛に鼻をこすりつけ、再びマスターベーションを開始する。

「ゆきちゃんのマン臭」を嗅ぎながら自慰行為にふける至福の時間。
 あの、オフィスで澄まし顔で仕事をしているゆきちゃんのマン臭、残業中私にショートケーキを「あーん」してくれるゆきちゃんのマン臭、中庭のあるカフェで結ばれいつまでも手を握り合いキスしたゆきちゃんのマン臭、セックスでは控えめに喘ぎ嬉しそうに私を受け入れてくれるゆきちゃんのマン臭、すぐ果ててしまう私にも優しく、はにかんだ笑顔で「エッチはそんな好きじゃないから」、「ぎゅってしてくれるだけで幸せ」と言ってキスしてくれるゆきちゃんのマン臭。
 可憐で清楚なゆきちゃんが見知らぬ男の前でいきなり股間をぱっくり拡げ、極太黒光りバイブを臭いまんこにぶち込み、汚らしく出し挿れを始めた。ああ、やめて。そんな恥ずかしいことしないで、ゆき。なんで。やめて。他の男の前で。やめて。そんなことしないで。ぐちょぐちょ変な音がしているよ。酸っぱいマン臭が漂ってくるよ。ああ、やめて――。

 二度目の射精を終えると、気持ちがだいぶ落ち着いてきた。恋人の部屋に飛び散らせてしまった精液をティッシュで拭き取りトイレに流す。彼女が帰宅したときこの生臭い匂いに気がつくだろうか。それはまずい。
 いや、そもそもまずこのバイブはどうするのだ。片付けようにもどこにしまえばいいのかわからないし、位置が変わっては怪しまれる。では元のままベッドに放り出し知らんぷりを貫く? それも無理がある。あんな堂々とベッドに置かれている奇妙な物体に気が付かないなどかえって不自然だ。開き直って「ゆき、こんなの見つけちゃったよー」と言ってみようか。絶対だめだ。私は女性と下ネタを気軽に話すスキルは持ち合わせていないし、ゆきともそういった会話をしたことはない。彼女がバイブでオナニーをしている事実を突きつけるという女性の尊厳に関わる話などできるわけがないし、ましてびっしり書き込まれた「正」の字とハートマークを笑い話にするなど不可能。下手をすれば別れ話に発展する恐れすらある。
 これはもう、私は今日ここに来なかったことにするしかない。バイブもベッドの上に戻しておく。私がいた痕跡も消しておく。幸いにして私が今日ゆきの部屋に立ち寄ったことはまだ伝えていない。メールしようとしたところでとんだ物(ぶつ)を発見してしまい、すっかり連絡を忘れていたのだ。ゆきは私に最重要機密を見られたことなどつゆ知らず、いつもどおり帰宅し少し慌ててバイブを片付けるだろう。それですべてがノープロブレム。

 よし、完璧だ。最後に明かりを消し部屋を出ようとしたそのとき、最悪のタイミングでゆきが帰宅した。
 ガチャ、ガチャガチャ――。
 ガチャ、ガチャリ。

 真っ暗な玄関先で鉢合わせる私たち。固まる二人。まずい。何か言葉を発しなければ。と私が思うより先に、ゆきの悲鳴が深夜のマンション中に響き渡った。


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