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ドッペルゲンガーの恋人/過去からの彼女(官能オカルト連作短編)
【幼馴染 官能小説】

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海月の捕食された日-2

2
「アヤ婆、何の用?」

 現れた少年・海月(カゲツ)は黒い髪からパカパカと光が漏れている。
 何しろ彼はこの駅の駅長(水母天使)と従姉弟なだけでなく、同じ型(阿頼耶式)の改造人間エスパーで、頭の中は「異宇宙の叡智」とやらにリンクしている。内部エネルギーを逃がして圧力を減らす(頭蓋破裂や発狂の防止)などの諸々の技術目的で頭蓋骨に穴を開け、小さな特殊レンズで塞いであるのだ。それで、力を使ったり興奮したり運動したりすると、クリスマスツリーの電飾のような光が頭から零れ光るのである。

「(アヤお姉ちゃん)でしょ?」

 気分を害したアヤが小さな拳固でコツンとやろうとすると、サッとかわす。
 それで両手で海月の頭を捕まえて、頬を左右に引っ張った。

「「お姉ちゃん」って言ってみなさい」

「ば・ふぁ・あ」

 口がアヤの手で歪められているとはいえ、それが「ババア」という台詞だということくらいは明白だ。見た目の年頃も中身の性格も反抗的で不遜な奴なのである。
 アヤからすれば血縁からの親しみや愛情を感じないわけではないのだが、おおむね「生意気な弟」というのが基本認識になっている。パッと見た感じは容姿端麗な美少年で(女装でもして黙っていれば美少女と勘違いされるかもしれない)、アヤの愛兄リクの面影がなくもないのだけれども、外貌の年齢だけでなく性格的な違いも大きい。リクのように思慕したり甘える対象というよりは、むしろ面倒を見て指導してやらないといけない弟や甥っ子のような印象が強い(ある意味ではペットの犬猫への愛情に近いだろうか?)。
 アヤは顔を顰めながらも唇と目許には苦笑いが浮かぶ。

(この子ってカリーナの血筋なのかしら……)

 この活発で悪戯っぽく、鼻っ柱の強いところなどは、どうしても元同僚のカリーナを連想してしまう。けれども別世界のアヤ自身の末裔でもあるわけで、彼女の内面の不敵でしたたかな一面の遺伝が出ているのかもしれない。
 そんなことを考えている間にも、サリーナは自分だけの世界でトラウマのフラッシュバックでブルブルしている。アヤと海月の注意が向けられたときには、とっくにまたしても拘禁症状になりかかり、よだれとアブクを吐いて痙攣しだしているところだった。

「いけないわ!」

 アヤが吹き零れた鍋を気遣う慌しさで、慌てて膝を突いてピクピクしているサリーナを抱き起こす。

「サリーナさん、しっかりして! 海月、あんた慰めなさい。男の子でしょ?」

「は?」

「男の子でしょ? 女の子には優しくしろって、習わなかったの?」

「はァ?」

 海月は頭をポリポリ掻いていて、いっかなやる気がない。
 だんだんにアヤもイライラしてくる。愛兄のリクならば不器用ではあったけれども、こうまであからさまに無関心ではなかったろうし、少なくても気遣ってくれたことだろう。

(ったく、このガキは!)

 アヤは軽くだが頭に血が上ってくる。
 この美少女が過去の生前に、兄のリクに割合に上品で余裕を持って接することが出来たのは、結局はリクがそれなりに思いやりがあり、特にアヤには心から優しかったからに尽きる。自分が愛慕していただけでなく、リクも年上の愛で逐一に思い遣ってくれたからだ。
 しかし不遜な海月の場合には同じ血縁者でも、なまじっか(パラレルワールドでの)自分の子孫でもあるだけに、かえって腹が立つ。バカな子供を持った母親やデキの悪い弟に頭を痛める姉の気持ちがわかる気がする近頃だった。

「ちょっとくらい、心配しなさいよ。サリーナさんだって、歳は上でも女の子なのよ?」

「死にはしないよ。鎮静剤でも打っとけば?」

 海月は欠伸までして取りつく島もない。
 何しろ彼は「ラグナロクの終末戦争時代」の人間なのだ。改造人間のエスパー兵士として鵺と世紀末的な戦場・荒野を駆け巡っていたのだから、感性や思考回路が自然に殺伐としているのもある意味では仕方がないかもしれないのだが。


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