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ドッペルゲンガーの恋人/過去からの彼女(官能オカルト連作短編)
【幼馴染 官能小説】

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海月の捕食された日-12

14
 筒抜けになった携帯電話(内線)から、隣室の有様と音声が聞こえてくる。
 サリーナは抜け目なく、海月が気づかないうちに、こうしてアヤに「お裾分け」していたのだった。これも彼女なりの義理堅さで女の友情というものなのか。ただしサリーナの場合はマゾ趣味から転じた露出ごっこの趣もあるだろう。
 映像こそなくとも、声や物音だけでも、アヤの劣情を刺激するには十分過ぎた。
 親切であるとともに焦らしや嫌がらせでもあるような絶妙さ。

(どうして、私の周りはこうも変態ばかり!)

 あの車掌の途野磨乃だって、ずいぶんなものではある。
 アヤは「自分だけは違う」と思っておきたいのはヤマヤマだし、実際の行いや履歴もクリーンな部類ではある。
 しかし彼女とてつい先日に、とうとう異母兄リクの恋人であるサエをメトロ空間に招きいれ、兄を奪われた腹いせに百合行為で関係を持った。それだけでなく、リクの男根の形をコピーした擬似ペニスを使い、その義姉サエの手で処女を散らした事情がある。
 清純な(つもりで清かった)彼女からすれば、自分が変態になってきたようで、その原因をメトロ世界での同性の同僚に求めてしまう気持ちもある。

(サリーナさん、すごく積極的に)

 かつての異母兄リクとの、メトロの「幽霊もどき」になる生前の地上世界での日々の思い出が胸の奥だけでなく、子宮まで切なく揺さぶってくるようだった。
 アヤは抗えない誘惑で聞き耳を立てる。目を閉じなくても、頭の中で絵を見るように察知することができて、いやらしい想像が溢れかえってくるようだった。

(海月のバカ、盛ってアホみたいになってる)

 あの少年の声は血縁者であるだけに、どうしても愛兄のことを連想させてしまい、特にこんな情景のときには、あのときこのときのリクのことが思い出されて仕方がなかった。
 しかも恋愛対象にならない、なりえないこともあって、より悩ましさは増す。
 こんな清純そうな彼女だって、好きな男に抱かれたいエロス願望は山ほどあるし、ときどきたまらなくもなる。けれどもアヤにとって欲情の対象はリクだけなのだから、雑食のサリーナや、固定パートナーがいる磨乃のことは羨ましい。

(「舐めっこ」してる?)

 遠い昔に異母兄のリクが舐めてくれたときのことが頭を過ぎり、頬が火照る。
 いつしかアヤのホッソリした小さな手は音もなく、普段着の格子縞スカートの脚の間に忍んでいた。たとえシャツの布地の上からでも、発達不十分で停止したであろう乳房を自ら愛撫せずにいられない。
 姫豆を砥ぎ磨くと、パンティの中でよりいっそうに蜜が溢れてきてしまう。あまり肉の厚くない、まだ少女体型のお尻の溝に垂れて流れてくるのがむず痒い。

(あとでパンツ穿き替えなきゃ。このスカートも洗おうかな)

 ひょっとしたらスカートにまで染みているかもしれなかったし、僅かな牝の発情臭だけでも残っていたら、それはそれで嫌な気もする。アヤはその方面では気位とプライドが高い趣があり、リクやサエはかなり例外の部類である。

「はぁはぁ」

 声が出そうで怖い。
 電話であちらの音が聞こえているということは、こっちが大きな声など出してしまったら、あちら側にも丸聞こえになってしまうのだから。アヤは息を潜めながら己自身の女陰をさすり続けた。
 たまらなくなって、あの兄を模した擬似ペニスを箪笥から引っ張り出す。
 それはこの間、サエを犯し、アヤ自身の処女までを奪った凶器だった。

「んぐ!」

 出来るだけ声を殺して口に含み、喉の奥にまで咥える。
 彼女の思い出のやり方で、しゃぶりながら自分でするか、兄に舐めたり吸ったり意地って慰めて貰うのが手馴れたパターンでもある。一人でするのは心の満足度こそ低いけれども、このときばかりは自分で加減できることが好都合だった。
 四つんばいでスカートのお尻を突き出しながら、目を閉じて「愛兄の形」をしゃぶる。
 ただのゴム樹脂のはずなのに、記憶の中の脈打つ柔らかな硬さが口の中で蘇ってくるようだった。鼻で息を荒げて、それでも声を押し殺しながら、甘い苦悶に腰をくねらす。

(お兄ちゃん、お兄ちゃん!)

 唇と舌で、賢明に愛しい模造を確かめながら、濡れた姫小豆を擦りつける。それだけで体が熱くなって、どっと汗が噴き出してくるようだった。

(ん、んんっ、う!)

 アヤは小さなクリトリスからの絶頂で、声を立てないために、擬似ペニスにむしゃぶりついて口をすぼめる。

(た、たまらない!)

 携帯電話の通話を切り、パンティを捲ると、荒々しく切腹の潔さで、それでも快感を噛み締めながらゆっくりと突っ込んでいた。大好きな形をコピーした「それ」は、まだ慣れない姫穴を陵辱し、止まらなくなる。
 アヤは少し歯を食いしばるようにし、喘ぎ顔を真っ赤にして、本格自涜の苦痛と歓喜に腰が抜けそうになる。その大きく澄んだ目には悲愴な悦楽の涙が光っていた。


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