過去から彼女（最終話）-5
いったんペニスに引きとめるようにまとわりつかれながらも、どうにか摩擦に耐えながら腰を引き、もう一回ズンっと叩き込む。
「ふひっ？ ういぃ？」
牝のエキスをジュワリと姫貝の口に溢れさせながら、女のあられもない恥肉の圧を押し分けて、文字通りに刺さる。まるで串刺しされるかのようなショックでサエは悶える。
それが繰り返されるのがピストン運動。圧力とパワーは三割り増しだったろう。
その度に脳天まで駆け抜けるような悦楽のパッションがサエを襲うらしい。奥深く姫粘膜に一突きされるたびに、平静さを失って乱れほどけていくようだった。
「うっ、うぎっ、ヒッ！ アアっ！ ひぃッ」
媚ではない苦しみに似た声音が喉から流れ、その口許からはよだれまで垂れている。
泣きそうになった嘉悦の表情を見れば発情した牝そのものだ。
日照り続きに、期待十分の初めての相手で、心理的にもそうなる理由があったのか。
「え、ああ？」
悶えた女はやや固い乳房を撫でられると、我に返った半べそ顔で見返してくる。その呼吸は荒く、自分の女体に何が起きているのかわからなくなっているのかもしれない。
乳房を揉んだその手を下に滑らせる。ほんの思いつきで姫豆をクリクリ悪戯してやると、サエは快感電気のボタンでも押されたかのようにビクッと全身で悶えるのだった。
「うぅう〜、んん〜っ！」
「サエさん、そんなに締めつけたら！」
だが追い詰められているのは実は玲の方だったかもしれない。
仮借ない膣肉の圧力と摩擦は火花を散らせるかのようで、熱くヌメって震えながら責め苦のような手加減のない快感で攻め立ててくる。腰で動くたびにいつ暴発してもおかしくなく、むしろどうにか耐えているのが不思議なくらいだった。
あまりにも圧力が強すぎて、かえって射精の開始が抑制されているのかもしれなかった。
玲はもうどうにでもなれと、ガンガンと渾身に腰を使う。
「あうっ、ひっ、ふっ、ふうぅ、うう」
言葉でなく、乱れる呼吸と喘ぎ声で応じるサエは、胎内に囚われてもがく男の苦悩を堪能しているようだ。強く縋りつく貪欲な姫奥のせいで、突入されるときだけでなく、引き出される際にも上乗せの愉悦が来るらしい。
それでもサエは果敢に訴えかけるのだった。
「メチャクチャにして、いいよっ、ああ〜っ、チカチカする！」
玲にはもはや気遣う余裕など皆無だったけれど、それでもピストンでちゃんと感じてくれていることが幸いだった。それにサエの場合は丈夫だから多少は乱暴なくらいでも、壊してしまう心配が少ないのがせめてもだった。
甘く痺れて麻痺しそうなペニスをどうにかこうにか抽送し、いけるところまでトライアルするしかない。コントロールなんか何処かへ行ってしまっていて、自滅覚悟でストロークが生み出す摩擦の快美感を貪ることしか考えられない。
サエと玲の肉交は無言の内に性の悦楽を共有し、お互いの気配で極点はわかった。
「あっ、出てるっ！ 玲が膣中で！」
玲からすれば最初はかえって何も感じないほどで、熱いものが抜けていく感覚だけだったが、急に下腹の奥の射精菅から前立腺辺りに電気が流れたようになってしまう。
ようやく引き抜くときには息も絶え絶えな気分。撃ち込んだ充実感が半端でない。茹ったサエの蜜口からは、愛液混じりの遺留物が白い珠のように膨れて零れてくるのだった。
それは十日間も続く、二人の肉欲トライアルマラソンの始まりの第一発目。