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ドッペルゲンガーの恋人/過去からの彼女(官能オカルト連作短編)
【幼馴染 官能小説】

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曲者策士な母の企みで?-2

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 もちろん、玲としては母とサエさんの特異なレズビアン関係を、むしろ喜んでいた。
 おかしな他所の男に父親面されるのはご免だったし、母を奪われるのは絶対に嫌で屈辱的でもあったから。そんなことになるくらいなら、まだ馴染みのサエさんと女同士で勝手にイチャついてストレス発散してくれた方がいいに決まっている。
 何度か目撃したこともあるし、そのときのサエさんの痴態のことはずっと、オナニーのときの妄想で使い古されたフィルムのようにリフレインしている。意味がわかって男に目覚めてから、ずっと。
 いくら気をつけていても、そういう機会は稀に起きる。
 母は盗み見に気がついていたようだが、どこかからかうような様子で咎めただけで、玲としてもそれ以上深くは事情を聞く勇気がなかった。母のアヤは機嫌を損ねたら物凄く怖いから(目つきだけで威圧感が尋常ではない)。それに「一定の節度」とやらを守っている限り、それほどに責めることもなかった(通常は視線を悟るとレズ行為を止めてしまうことも多かったが)。逆にサエさんは覘きに気がついたときには、事後に頬を赤く染めて「ゴメンね」などと詫びるのが可愛かったものだ。
 一度などついに我慢が出来なくなって、ドアの前でやらかしてしまったこともある。
 あれはたしか中学二年生のときだったが、あのときは寝室から出てきた二人の目の前で、無様にズボンを半分下ろした姿を目撃・捕獲されてしまった。母は少し怒ったような無表情で訊ねたものだ。

(で、どっちを見ていたの?)

 母のアヤの妖しく上気した眼差しは、ほんの少しだけ怖かった。普段の母はクールで知的なせいで少し冷淡な雰囲気すらあったが、芯の部分では息子の玲に優しく愛情深くもあって、基本的に絶対の信頼と尊敬できる「親」だった。けれどもそのときばかりは女の野生の本性のようなものが垣間見えて、未熟な少年は余計に気圧されてしまっていた。
 それに「どちら」と言われても返答に窮してしまう。
 どちらかと言えばサエかも知れないが(無自覚な禁忌の感情もあったのだろう)、それでも母のことも全く見ていなかったといったら、たぶん嘘になるだろう。幼年の未熟すぎる感性は二人の生の女が絡まり交わる、異常な痴態そのものに漠然と劣情していたのだ。
 幼物を勃起させたままでうろたえていると、母は困り顔のサエにこんなことを言った。

(サエさん、そのうちコイツの「初物」、貰ってあげてくれる?)

 するとサエはさらに、困ったような恐縮した顔をするのであった。
 そんなときに制御不能な生理反応で、小さな水鉄砲の雫で情けなく床を汚してしまった。
 ありえないくらい気持ちよかったのは表情にも出ていただろうし、下腹部が熱く弾むみたいで、深奥から湧き出した快感のエキスが濃厚な液体になって噴出したみたいだった。

(うわー、アンタって変態……! 他所でやったら、逮捕モノだわ!)

 母のアヤは冷たく言ったけれども、目許はどこか懐かしげに苦笑していた。まるで息子の成長に苦笑しながら密かに満足でもするかのような様子で、そのときは妙に「母親」の顔をしていたと思う。
 だが、一方のサエは急に泣き出してしまった。過去に恋人関係(実質は婚約者みたいなもの?)だった、亡くなった「母の兄」のことを思い出したのだと言って。
 それで玲としてもどこか厳粛な気持ちになり、気後れしてしまったのだ。嫉妬と苦悩を感じたし、サエさんの気持ちを考えて遠慮や自粛するようになったことは否めない。


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