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ドッペルゲンガーの恋人/過去からの彼女(官能オカルト連作短編)
【幼馴染 官能小説】

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その愛は座薬-7

8
 しばらくタイルの上で、リョウ君の胡坐の膝に座って休む。
 直接では冷たいだろうと、座布団になってくれる優しさが莉亜には有難かった。
 だから彼女としてはもう一回くらいサービスしてやりたいと思う。

「ほら、触っていいよ。優しくしてね、痛くしないで」

 リョウの手をとって自分の乳房に導く。ビキニブラを捲って好きなだけ触らせてやることにする。くすぐったくも優しく、そのくせちょっとだけ荒々しい。
 捏ね回し撫でる手の中で、ミルクの果実が変幻自在に形を変えるのだった。
 ついに夢中になった少年が乳首に吸いついてくるので、莉亜はくすぐったさと微笑ましさで照れ笑ってしまった。女同士でも一番触り心地の良い場所だろうが、男からすれば色情と幼児本能を同時に満たす福袋なのだろうか。

(熱中しちゃって)

 異性からオッパイを吸われるのなんて人生で初めてだったろう。
 莉亜も嘗め回す舌のざわつくような感触と快悦感を楽しんでもいた。
 それだけで事が終わるわけもなく。

「また、復活しちゃったね」

 お尻と腰の後ろで硬く弾むものが当たって、莉亜はニッコリと微笑む。

「そこに寝て。莉亜さんはご機嫌だから、もう一回してあげる」

 目顔で指し示したのは、ビニールに空気を入れたすのこのようなビーチマットだ。こういうことをする配慮の前提で、たぶんそこに置かれていたのかもしれない。
 そして莉亜はずっと考えていたことを告げる。

「リョウ君ってさ、こっちの私とは、その、口とか手でだけ?」

「え? うん、そうだけど?」

「だったらさ、やっぱりこっちの私としたら? その、セックスの初めて挿れるのとか」

 莉亜は考えるみたいな表情で、精液と尿と愛液で汚れたビキニパンティを脱いで、シャワーで流す。お湯が肌を這う刺激だけでゾクリと腰をくねらせて。
 ついでではないけれども、リョウの汚れた場所にもお湯をかけてあげる。

「リョウ君のことは好きだけど、キモチが半端なのよね。気に入ったけど、まだ愛情未満みたいな。男の子と付き合ったことなんかないし、今日会ったばっかりのリョウ君と最後までしちゃう勇気ないし。だから私自身もまだ処女まで破る決心つかないし、こっちの私が大事にしてるリョウ君を全部頂いちゃうのも悪い気がするし」

 彼女はそれがかなり虫のいい言い訳じみていることもわかっている。こんなふしだらなことをやらかしておいて、今更「処女捨てる勇気がない」とは、それはそれで自己中心的だろうし、もしも他の男からしたら完全な処女とは見做されないだろう(これも自己申告しない限りは、黙って誤魔化すこともできるのかもしれないけれど)。
 小賢しいような自分のズルさも、莉亜は重々にわかってはいるけれども、それでも最後の一線を越えるのが「怖いのは怖い」のだからどうにも仕方がない。
 けれどもリョウ君とこの世界のもう一人の私との、かけがえのない絆を横から全てかっさらうのも、それはそれで心無い業だと思うのも真実なのだ。
 だからつとめて明るく、励ますような口調で告げた。

「だから、私とのことは『予行演習』だと思って」

 すっと顔を近づけて、リョウに後々のミッションを命じる。

「この世界での私の処女は、必ずあなたが奪いなさい。いいわね?」

 頷くリョウをビーチマットに寝かせ、莉亜はビキニ上まで外して、一糸纏わないスッポンポンになる。解き放たれた裸の女体で上からのしかかっていく。
 流麗な美術品のお椀のようなミルクの果実を目の前で揺らす。
 それから寝物語するかのように、腕枕みたいな姿勢で話しかける。

「私ってさ。お尻もけっこう弱いんだよね」


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