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ドッペルゲンガーの恋人/過去からの彼女(官能オカルト連作短編)
【幼馴染 官能小説】

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その愛は座薬-4

4
「もー、リョウ君。そんなにイッパイイッパイだった? お漏らしなんかしちゃって、男の子のヨーグルトなんか出ちゃってるよ?」

 やや恥ずかしそうに照れはしゃぐ莉亜はニヤニヤとえっちな表情を浮かべている。
 リョウはリョウで困った顔でうろたえながらも、それでも目線を泳がせて、根っこの部分が恍惚としてしまっている。性的な興奮と快感でおかしくなりそうだったのだ。

「だって」

「言ってくれたら、私がお世話してあげたのに。普段からこっちの私がリョウ君にお世話になってるんだろうし、そういうこともしてるんだよね? 夢で見たけど、話聞く限りではあなたたちの記憶だとしか思えないし」

 じゃぶっと湯船を立ち上がった莉亜はビキニの水着姿で自分の下腹を撫でる。
 まるで胎内に疼く熱っぽい何かを宥めようとするようだった。

「それに、あなたから「精気」を貰えば私の健康のためにもなるそうなのよ。身体で触れ合ったりとか、そういうので。親密なことすることでパワーが生まれて流れ込むとか。だから、その、最後のアレまではどうかなーとは流石に思うけど、それでもちょっとくらいはサービスしてあげようと思ってたんだけど」

「そうなの?」

「うん。ここに来る途中で、女の子の車掌さんから聞いただけだけど」

 挑戦的で不敵なまでに莉亜は平然堂々としている。一線を吹っ切れて居直っているのかもしれなかった。
 彼女は人差指を立ててウインクした。面差しには淫情のようなものが漂っている。

「とりあえず、さ。嫌じゃなかったら背中でも流してあげるよ」


5
 洗い椅子に座ったリョウを背後から、莉亜がボディソープを掬った手で撫でつけている。

「あっ、う」

 リョウの呻き声はまるで愛撫される女の子のようだった。
 様子からしても本気で感じてしまっているらしい。
 まだ背中や腕、脇腹を撫でただけだというのに。あまりに鋭敏なくすぐったさに本人が一番驚いているようだった。

「どうしたの? 可愛らしい声なんか出しちゃって」

「おかしいよ! こんなの莉亜に、初めてして貰ったとき以来だよぅ」

 初めてして貰った云々とは、おそらくはフェラチオ行為や本格的に性的なペッティングのことだろう。
 莉亜も感覚的に身体の官能反応はわかるのだが、一般に男はもっと鈍感なものだと聞いているし、そう思っていた。けれども通常以上に極度に興奮している特別なときにばかりは、生来はデリケートでないはずの男性ですらも異様な感度の鋭敏化に苦しむものらしい。

「ふふっ。遣り甲斐あるなあー。リョウ君って元気で勝気で強そうなのに、責められるのは案外弱いんだねえ」

 興に乗った莉亜は耳元に湿った吐息を吹きかけて軽くキスしてやる。
 それから密着する乳首を背中に滑らせる。腰廻りに絡んで身をかがめて、椅子の下のトンネル穴から手を伸ばし、下の急所のラインをくすぐってやる(スケベ椅子とか言うんだっけ?)。するとリョウはビクッと身体を硬直させて悶えるような気配を見せた。
 玉巾着なる陰嚢を手で握り洗う。
 反対の手でまだ柔らかく脈打っている萎れた部位を玩び、マッサージしてやる。

「うっ、うう」

 ただでさえ昂ぶり切った精神状態の上、射精直後で敏感になっているせいもあってなのか、リョウはされるがままになり、なすがままに任せるしかない。
 しかもお風呂効果でより芳醇になった女の体臭フェロモンは、莉亜には予想できないほどの効き目をもたらしていた。若い牝の花のような甘い匂いが、少年の脳髄までを痺れさせて、すっかり抗いと自制の力を奪っている。まるでマタタビに酔った猫のように。
 だから莉亜は労わるような手つきで好きなだけ楽しむことができた。心赴くままの愛撫で責められて、リョウが悦んでいるのも伝わってくるのが嬉しい。

(もしかしてこういうのが、男を支配するヨロコビってやつなのかしら?)

 女としては、素敵な王子様にエスコートされたい気持ちもある。
 けれどもセックスの、騎上位などでの交接のときなどには、かえって女の方に独特な優越感のような気分の愉楽があるらしいとも聞いてはいる。彼女は万事が未経験ではあったものの、なんとなく想像で気分がわかる気もするのだった。
 やがて姑息な椅子の急所狙いの穴から女は手を退く。
 莉亜としては楽しみつつも、しゃがんで不自然に身をかがめるような格好、維持し続けるのは多少辛かった。慣れていないこともあるし、遣り方や使い方がやっぱりよくわからない。いっそ寝椅子でもあったら良かったのにと思う。
 替わりに特別サービスで泡を塗った背中からしがみつくように抱きついてやる。
 これで乳房の感触も、ビキニの薄布越しにダイレクトだろう。


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