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ドッペルゲンガーの恋人/過去からの彼女(官能オカルト連作短編)
【幼馴染 官能小説】

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その愛は座薬-2

2
「リョウ君、ちょっと待ってて。もう一回、衣装直ししてくるから」

 莉亜は企むようにウインクして席を立つ。
 取り残されたリョウは呆気にとられながら途方に暮れたが、それも今度は十分強くらいの束の間の憂鬱でしかなく、待った甲斐は報われることとなった。

「じゃじゃーんっ! お・ま・た・せっ!」

 再び返って来た莉亜はピンクのビキニで、グリーンのパレオ(巻き布)を巻いている。

「色とデザインをどうするか、つい迷っちゃった。思ってたより待たせちゃってご免ね。だけど、これだってリョウ君に魅せるためなんだから」

 無邪気に自然体で微笑むのとは裏腹に、少年の男心への衝撃力は壊滅的なほどだった。
 たとえ訴えかける女体美の効果が予想以上だったとはいえ、莉亜だって薄々はそういう意図で秘められた奥義に踏み切ったに違いない。
 この世界の別の彼女が望んだ、痩せ過ぎていない本来の美しい裸体の様を思う様に見せつけるかのようで、莉亜は自信と誇りに顔を輝かせている。しかもこのところは体調も随分良いわけで、少なくても見た目の外観上の肉付きや血色良さでは、そこいらの普通の健康な女の子とあまり変わらないはず。
 むしろ莉亜は着痩せするタイプと言って良く、素のままのボディラインはグラマラスな部類なのかもしれない。しかも病み衰えてもいない豊潤なまんまなのだ。

「どう? 私の初ビキニ。着るのも人に見せるのも、リョウ君が最初だよ?」

 片手を添えた柳腰を踊り子のように揺すれば、白いリボンのような布で支え包まれたお椀のようなオッパイが、プルンと誇らしく揺れるかのようだった。一対の禁断の果実のすぐ下にはすらりとした官能的なくびれのラインに、アクセントのようなお臍。緑の若草やかすみのようにたなびく巻き布からは、スラリとしながらも、それでも肉付きの女性的で柔らかげな太股が艶かしい白さで伸びている。
 莉亜は思い切った勢いで隠しもせずに、輝きださんばかりの水着姿をリョウの前に晒して、面目躍如とばかり頬を淡く紅潮させている。きっと全身がデリケートで空気の流れや投げかけられる視線の刺激にさえも肌の色を変えるくらいに敏感なのだろう。
 禁忌の封と守りを半ばまで解かれて恥じらいを含み、最小限の薄桃色の布地でだけ彩どられ、透き通る清澄さの白磁の細壷になよめき立つ、高嶺の仙境の紅い一輪挿しの花を差し出されたかと、リョウはつい錯覚する。清廉として麗しく、可憐なくせに強い甘い香りのように扇情的で、お酒に酔うか麻薬のように頭と心を犯しまどろませる、魂を吸引する誘い水の見えない波のようなものがヒタヒタと少年の心を濡らし洗ってくるようだった。

(きれいだし、すごくエッチだ! 莉亜、やっぱり一番の女の子だ!)

 見蕩れて深く溜め息するリョウは言葉を失ってしまう。
 渦巻く衝動と切ない懊悩の募りで全てを忘れたようになってしまい、内心に長く求めて止まなかった小さく親しい絶景の美の開陳に打たれて動けない。

「そんな顔しちゃって。やっぱり男の子って、そんなふうなんだね」

 そうは言いつつも、莉亜は少年が予想以上の反応で目を見開いているのが少々照れくさくも、やっぱり心の中で嬉しくなってしまう。

(もう一人の私も、こんなふうにしたかったのかな?)

 莉亜はこの世界での、病床に臥せっている分身に思いを馳せる。彼女としては好きな男の子に「自分の本当の美しさと魅力」を見せたくとももはや叶わないのだとしたら、さぞかし無念で死んでも死に切れないことだろう。
 せめて「写し絵」の身代わりであっても見せつけて、想い人の心に焼きつけてやりたいと願うのは、切ない恋心あらばこそ。
 そんなことを思うにつけても、けっして悪い気はしない。

「ジロジロ見ちゃって。そんなに珍しいのかしら」

「莉亜が、あんまり綺麗だから」

「ふーん。でも、さっきの着物のときとは、ちょっとなーんか違うよねえ? リョウ君の目、飢えたケダモノっぽいよ? 本当は「エッチな格好だから」じゃないの? ふふんっ」

 ニヤリと笑ってからかうように指を振る莉亜に、リョウは言葉に詰まっている。

「ううう」

「照れちゃって。いーよ、怒らないから。くすくす」

 これも普段だったら、こんなふうに鼻の舌を伸ばした男に不快に思うこともありえたかもしれないが、リョウのただの色情欲求以上の賛嘆の様子に充実感と満足、仮にも女性としての誇らしさのような感情が湧く。
 何せ彼に関しては、これまでの短いやり取りの中のでも、ピュアで初々しい愛慕の気持ちと崇敬に似た感情が漠然とながら感じられていたのが大きかったかもしれない。たとえ同じリアクションや態度と目線でも、相手の好悪によっても、主観感情としてどう感じるかは違ってくるのは人間だから当たり前だった。
 次いで莉亜は余勢を駆って、そのままストレートに抗い得ない提案する。戦いの勝利者が虜囚に優しい強制を示すように。

「トコロデ、さ。ここの地下の三階に個室の温泉があるそうなんだけど、ちょっとしたらあとで一緒に行ってみない? ご飯食べてすぐだけど」


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