まぶたを閉じていただけ-3
h世さんは、僕の手をつかんで引っ張った。
僕は、シャッター商店街のハズレに連れていかれた。
h世さんは、僕をそこの細いワキ道の壁に押さえつけると、
「目をつぶって」と言った。そのとおりにすると、h世さんは僕を包むように寄りかかって、
「私が『いい』と言うまで目を開けないで。」と言った。
僕が目をつぶってジッとしていると、耳の間近で
カチッ
と音がした。次の瞬間、僕の顔はタバコの濃い匂いにおおわれた。
(h世さん、どんな……どんなタイミングで『いい』って言ってくれるんだろ)
煙の流れを頬に感じながら閉じたまぶたの奥で眼球を動かしていると、「……?」
僕の下着に、温かいものがしのびこんできた。それは 僕の薄い陰毛を撫でて、その下のチンチンをキュッとはさんだ。
「h世さん……?」チンチンをはさむものがh世さんの指先であることはわかった。
h世さんの指は僕のチンチンのそばで動かない。だけどh世さんのタバコの煙が僕の顔を撫でて通るたびに、その動かない指がチンチンにグイッと喰いこんでくる。
(こ、これがセックスの気持ちよさなの…… でも、h世さん。こんなことより早く『いい』って言って、h世さんがタバコ吸ってるところ見せてよー。)
h世さんの身体が少し動いた。僕の下着の奥に何かが入りこんできた。
(なに、これ…… ちょっと痛い……)
チンチンがガサつく。僕が戸惑っていると、閉じたままの僕のまぶたの裏に、突然青や紫や桃色の光の粒がなだれこんできた。
僕は身体の向きがわからなくなった。
「い・い・よ」
h世さんの声に、僕は速攻で目を開けた。だけど、僕の目に飛びこんできたh世さんは、タバコを持っていなかった。
そして、h世さんは地面に座りこんだ僕のチンチンの先を紙でぬぐっていた。h世さんの手に白い液が見える。
「ぼ、僕、大変なことやらかした……」
h世さんは僕にもたれて言った。
「いかがでしたか?」
僕は答えた。「吸ってるところ、見たかった……」
「ふふっ」h世さんは笑った。「吸ってるところを見られるの、恥ずかしかったの。だから正直に目をつぶってくれてるs次クンに思いきりサービスしたの。」
「サービス……?」h世さんは、唇を僕の唇のそばに寄せた。一瞬キスかな?と思ったら、h世さんは僕の鼻の穴に息を吹きこんできたんだ。
(あ……)h世さんの息にわずかにしみついてるタバコの匂い。それが僕の目の前に、青や紫や桃色の光の粒をまき散らした。
「さっきのはね、煙をダイレクトに鼻の穴に入れたんですよー。」