仕事の仕方-1
3人は朝9時半に屋敷を出て、10時前には会社に到着した。
「お兄さまお部屋は会長室のお隣になります」
「よろしくお願いします」
頭を下げると麗子は社長室へ消えて行った。
部屋に入ると、大きく立派な机があり、応接セットがあった。
「これは凄いね(笑)私には似合わない」
「役員としてお迎えしているのですコレ位は普通なのでは？」
典子が言った。
「典子の集めたメンバーは揃っているのかな？」
「ええ隣の部屋に待機しています」
ドアを開けると隣が会議室になっており、円卓に10名ほどが座って待っていた。
ドアが開き、典子の姿を見つけると、全員が一斉に立ち上がり、
「おはようございます、会長」と挨拶した。
「おはようございます」
「今日ココに集まって頂いた皆さんは取締役戦略本部長の命にて集合しております」
「ご紹介します、昨日付けより、当社取締役に就任された、袋小路三太さまです」
「みなさんおはようございます」
「おはようございます」
「今、典子から紹介を受けた袋小路です」
「特別な実績がある訳では無いので、皆さんに色々と手助けしてもらう為に優秀な人材を
各部署から集めてもらいました」
「今日から私の部下としてココで働いてもらいたいと思います」
「あのう？第1営業部部長の並木です私たちはココで何をするのでしょう」
「社長の麗子が掲げた今季10％増の目標を3か月で完了し、最終15％増を遂行する事です」
三太の話に皆がざわついた。
「会社の目標達成をココの人間で成すという事ですか？」
「ハイそうですね(笑)」
「各部門の専門家集団なら当社の強み、弱み、良い部分悪い部分を理解していますよね」
「それを大胆に戦略に盛り込み実行しようという事ですよ」
目標達成には、大胆な改革もアリと言う事で理解して下さい。
責任は私が持ちます。
会社の中心でリアルに働いている人間には、魅力的な提案でやる気が起きる話しだ。
「典子優秀な秘書、連絡係を2人、私の下に今すぐ配置して下さい」
「ハイ三太さま」
「総務部出身は？」
「ハイ総務部次長、山下です」
「今ココに居る人間全員のPCを準備して下さい」
「最新の高スペックノートPCですよ」
「新規の高スペックPCとなりますと注文や書類が必要です」
「そうなのですか？」
「取引先はありますよね？」
「必要台数を確認して下さい」
電話と手を出す三太。
「こんにちは西条本社の取締役袋小路です、最新ノートPC15台を直ぐに会長室まで届けて欲しいのですがぁ」
「ハイそうですね(笑)なら30分でお願いします」
三太の行動みて、この人は本当に目標を達成する気だと皆が思った。
「皆さん今までの肩書は無くなりましたから、今から本社戦略室次長です」
「全員ですか？」
「十数名の社員で肩書は次長です」
「後、本部長秘書2名ですね(笑)」
「取引相手には全員本社戦略室次長を名乗って下さい」
「皆さんPCが届く前に何処を伸ばし、何処をカットするか話し合って下さい」
皆が席に着き、話し合いを始めた頃、ドアがノックされ2人の秘書が入って来た。
「秘書課山本です、同じく二葉です」
「本社戦略室本部長袋小路です、よろしく」
「二人は今日から本社戦略室秘書になりますからお願いします」
「基本何も知らない私の代わりに、連絡を繋いでください」
「ハイ」
「とりあえず今からPCが届く予定です、受付に連絡して会長室までナビして下さい」
「ハイ」
「本部長お昼はどうしますか？」典子が聞いた。
「そうですね初船出になりますから、会食用の仕出し弁当で良いでしょう人数分」
「山本さん15名弁当の松を頼んで下さる？」
「ハイ」
「忘れていましたよ携帯・・・携帯」
三太がココの全員にはPCと携帯を支給です。電話など引いた部屋ではありませんからね
「二葉さん携帯15台と充電器、替えの電池を至急ココへ届けさせてください」
「PCの会社なら携帯も揃いますね(笑)」
「電話して追加注文して下さい」
「ハイ」
全体が三太のイメージする通りに動き始めた感じだ。
次長達も自分達の立場を理解して、大胆な戦力を意見し出していた。
予定より30分遅れで、PCと携帯、充電器、替えの電池が15台揃った。
秘書二人は、自分のPC携帯に14台の番号を登録していた。三太の携帯には秘書が番号登録をして
名前も入力した。
会長の名前の登録は典子にされ社長は麗子だった。
秘書たちは、本部長がどういう存在なのか、良く判らなかった。
我が社の会長や社長を名前で呼ぶ存在を知らないからだ。
役員たちと同じ反応だ。
結局、午前中はPCと携帯の設定登録で終わってしまった。
昼食を全員で取りながら、方針が話し合われ、大胆にテコ入れする部門とカットする部門の
確認がされた。
試算では、この計画が予定通りなら3か月後の12%増は達成するのだが、希望的数字が多いと
練り直す指示を三太から出されていた。