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想ぃの行方
【青春 恋愛小説】

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想いの行方【half】-1

好きになるって幸せなことで、でも切ないことで…。苦しくてどうしようもないときもあるけれど、それでもやっぱり、私に笑いかけてくれると嬉しいから…。





「ねぇ、聞いたー?」

「何を?」

「矢田くん彼女できたんだって」

「嘘ぉー!ショックー!!」

「彼女って誰?」

「三組の西野さん」

「うわー勝ち目ない」

そんな会話を聞くのはもう何回目だろう。付き合いだしてから心と矢田くんは一緒に登校して来るようになった。それをみて周りが騒がないはずがない。
相変わらずいつものようにケンカ口調で言い合ってる二人だけど、何だかんだでうまくいってるみたい。

「あいつら付き合っても何も変わんねーな」

隣りの席で速水くんが呟く。

「本当にね」

二人をくっつけたのは速水くんだという誰も知らない裏話。知っているのは私だけ。それが少し嬉しかったりするこの頃。
本編で心がちらっと紹介したけど、私『佐田麻衣』は速水くんに密かに想いを寄せている。
今日は私の春恋物語を紹介します。



私が速水くんと出会ったのは春。初めて同じクラスになった。だけど速水くんの存在は前から知っていた。
あの頃の私は実は矢田くんファンで、他の子たち同様にきゃーきゃー騒いでいる一人だった。だから、矢田くんと速水くんと同じクラスになって浮かれていた。

「心っ!今年も同じクラスでよかったね」

「うん」

「しかも矢田くんと一緒だし〜」

「そこは何も思わない」

「心はいいなぁ、矢田くんの隣りの席じゃん」

「嬉しくないし。麻衣だって速水の隣りなんだから仲良くなれるかもよ」

その言葉に一気に私のテンションが上がった。心のあの言葉がきっかけて私は速水くんと話すようになった。始めは矢田くんと仲良くなれるかもっていう不純な動機だったんだけど。でも確実に仲良くなれたのは確か。


そんなある日のことだった。
学校の行事ごとの準備中、展示していたオブジェが倒れる事件があった。そのとき真下にいた私をかばい心が足に大怪我をした。
その傷は今でも少し残っていて、苦しくなるけど気にすると心が怒るから口にはしない。
とにかくあの後周りは大騒ぎだった。いち早く心に駆け寄って保健室へ運んだのが矢田くんだった。心を囲む人混みの中、その場から静かに立ち去った私は教室で一人、腕の怪我の痛みを堪えていた。
すると教室のドアが開いた。


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