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戻れない二人
【OL/お姉さん 官能小説】

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-1


男は好きな食べ物は食事の最後まで取っておくタイプである。
だから、アルバイトの配達の順番も、なんとなく嫌な客先をさっさとこなし、好感を持っている客先ほど後から回るように調整していた。
春から始めたアルバイトにもようやく慣れ、上司に悟られない程度にこのくらいはできるようになったのだ。
最後にまわるのは、吉野あゆみという女の家と毎度決めていた。
あゆみは、慣れない頃から行く度に笑顔でお礼を伝えてくれた数少ない客である。
都会らしい洗練された美しい容姿とは裏腹に、柔らかく魅力的な態度に安心感と憧れとを同時に抱いていた。
また、白状すると、ここのところめっきり暑くなり、薄い部屋着姿のあゆみを見るのが楽しみだという下心も持っていた。
相手に気づかれぬよう、部屋着のホットパンツから伸びる白い足や、Tシャツから透ける下着のラインを目に焼き付けていた。
あゆみのような優しい女性に対して下心を持つ自分を叱りながらも、夜な夜なあゆみの肢体を暴く夢想をしては自身を慰めることが日課になっていた。

ある日、いつものように最後にあゆみの家へ配達へ行った。
インターフォンを鳴らす位置までくると、
さっきから漂っていた夕飯の香りがあゆみの家からだとはっきりとわかった。
「はぁい」
いつものように、あゆみが明るい声でインターフォン越しに応答する。
すぐにドアが開けられ、いつもとは違う装いのあゆみが現れた。
今日は部屋着ではなく細身のサマーニットの前開きのワンピース姿だ。
丈は足首までと長いが、サイドに膝上までスリットが入っており、薄いベージュが大人の魅力をひきだしている。
何より、深めに開かれたVネックからちらりと覗く谷間へと目が一瞬吸い寄せられ、慌てて目をそらした。
あゆみに勘づかれたかと思って、慌てて「やっぱ夕飯の匂いって腹減りますね」とお茶を濁した。
「今日はお仕事まだ長いの?」とあゆみが答える。
「いや、吉野さんとこで終わりなんで、夕飯どうしようかな。」
「あの、こんなこというの、突然で驚かせてごめんなさい。もし嫌じゃなかったら、家で一緒に食べてくれないかな?」
あゆみが言うには、久しぶりに友人と家で食事をするために料理を作ったが、急遽友人からキャンセルの連絡が入りどうしようか困っているとのことだった。
男が驚いて狼狽えた。
願ってもない誘いだが、ほいほいと承諾し図々しいとは思われないだろうか。
「本当にごめんなさい、こんなことあたしみたいなおばさんに言われても迷惑だよね。気にしないで!今日もお疲れ様。」と寂しそうな笑顔を見せる。
男は思わず「いや!とんでもない!嬉しいっす!いいんですか?」と答えた。


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