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日常Breaker
【コメディ その他小説】

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日常Breaker3-1

幾島泰久、幾島華奈、皆川沙耶、世良朝香が通う黒鉄(くろがね)高校。そこに勤める、一人のイケメン教師がいた。
「そして豊臣秀吉の死後、その覇権を継いだのが徳川家康だ。江戸に幕府を開いた彼は…」
日本史を教える彼は、生徒に自分のことを「ケン先生」と呼ばせている。本名は誰も知らない。自己紹介の時から、ケンとしか名乗っていないからだ。
「そして江戸幕府の統治のもと、長い平安な時代が続く。まあ、平和なことは素晴らしいことであるが、この間に侍たちも平和ボケしてしまい…」
ケン先生は、チョークを片手に授業を進める。イケメン教師らしくメガネをかけていて、スーツを着崩さずにキッチリ着込む。穏やかな性格で、背も高い彼は、お約束通り女子生徒の憧れの的である。

『ブレイク・アーウト!』

黒鉄高校特有の、『理事長のシャウトチャイム』が授業の終わりを告げる。
「ん?もう終わりか。よし、では今日はここまで。次回は、この続きを軽くやってから、復習として『第六天魔王』織田信長の生涯を語ろう。そして豊臣秀吉、徳川家康といった天下人(てんかびと)を語った後、『風林火山』で有名な武田信玄、『軍神』とまで呼ばれた名将上杉謙信、『独眼竜』伊達正宗、戦国最強の武将とうたわれた本多忠勝、『傾奇者』にして稀代の文化人と言われる前田慶次といこうか。おっと、直江兼続を忘れていた。…いや、『槍の又左』こと前田利家を語らずして前田慶次を語るわけには…しかしそうすると、利家を支えた女傑まつも入れなければ…いかん、授業の日数が足りないな」
生徒は、彼から戦国時代以外の授業を受けたことがない。
「…そういえば君たちは、佐々成政についてはどの程度知ってるんだい?」
いきなりケン先生は、一番前の生徒に質問をする。
「え、『誰それ?』って…待て待て、では、織田信長の忠臣の佐々も語り…あぁ!信長を語るなら、『まむし』の濃姫と浅井長政・明智光秀の裏切りも…」
頭を抱えて、本気で悩む。ちなみに、すでに休み時間は半分使っている。
「落ち着け、落ち着くんだケン。一時間分で数人を片付ければ…しかし、戦国に生きる熱い魂を秘めた彼らの生涯を簡略化することなど…」
「あの…ケン先生」
現代文担当の新倉先生が、ケン先生に声をかける。とても穏やかなじいちゃん先生で、生徒の人気は高い。
「次の授業、始まってますよ」
「あぁ!失礼しました。僕としたことが…」
いそいそと、彼は教室から出ていく。
「ははは、熱心な人だ。さて、授業の前に軽くトイレ休憩を入れようか」
新倉先生はそう言って、優しく微笑んだ。

ケン先生は、廊下を歩きながら大きなため息をつく。
「ふぅ。我ながら、しょうもないことを…」
どうも、戦国時代を語り出すと止まらなくなってしまう。戦国の熱き漢達の魂がそうさせているのだろうか。
「今後気を付けなけば」
その時、自戒するケン先生の視界を、ふと白いものが横切った。
「ん?なんだ?」
白いものは、階段の方へと消えていったようだ。
「ウェディングドレスを着ていたような…だが、校内だぞ。演劇部か?」
不審に思ったケン先生は、追跡を開始する。

「しまった〜!弁当を忘れた」
四限目の授業は自習だ。腹の減った泰久は、早弁をしようと鞄を開けた時に、そのことに気付いた。
「売店で買えばぁ?」
のんびりとした口調で朝香が話す。幼馴染みのお約束通り、同じクラスで席は隣なのだ。ちなみに、沙耶と華奈は一年生同士で同じクラスである。
「売店は昼休みまで開かないからな。俺は今食べたいんだ」
泰久はそう言いながら、朝香の匂いつき消ゴムに目を止めた。


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