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香澄の本性
【寝とり/寝取られ 官能小説】

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家族旅行での出来事 同窓会タイム 4-7

「(ほら、情けない顔しないの。
  いい?今から本村君が思ってもいなかったような展開が始まるわ。
  でも、ここは先生を信じて、先生の言う通りにして。
  そうしないと、本村君は退学。先生も教育実習中止。
  ううん。もう二度と先生になるチャンスをもらえないかもしれない。
  だから協力して。)」

「(ど、どうすればいいんですか?)」
「(詳しいことを説明している暇はないけれど、
  本村君、セックス、体験したいんでしょ?)」
「(は、はい。それはもちろん……。)」
「(だったら先生を信じて、とにかくわたしに話を合わせてちょうだい。
  いい?わかった?)」

香澄は匠に念を押すと、トイレの外にいる綾乃と史恵に向かって話しかけた。

「…………ねえ、そこにいるのは……横田さんと細川さん?」
「…………。」
「わたしが誰だかわかる?教育実習生の高橋よ。」

史恵はトイレの中から聞こえる声に答えた。
「高橋?何を言ってるの?香澄……。」
「その声は細川さんね。
 そう、あなた方の親友の、香澄さんと同じ名前の高橋加寿美。
 今、あなたたちのクラスを教育実習で……。」

「…………。」
個室のドアを叩こうとした史恵を制して綾乃が声を出した。
「あ、加寿美先生。どうしたんですか?トイレの中から。」
「あ、横田さんね。横田綾乃さん。ありがとう。わかってくれてよかったわ。」
「綾乃。だれ?高橋加寿美って……。」

個室の中にいるのが香澄であることは何の疑いもなかった。
なのに、なぜか香澄は、教育実習生だった高橋先生を名乗っている。
しかも香澄は綾乃のことを、わざわざ旧姓で呼んだのだ。
(香澄、きっと、匠君に、
 これは高校時代のことなんだって思いこませたいんだわ。
 しかも、教育実習生だった高橋先生のふりをしているなんて……。
 高橋先生?あ、加寿美先生?えっ?もしかして、そういうこと?)

香澄が香澄先生を演じている理由が綾乃の想像通りだとすれば、
ここは香澄に合わせる必要がありそうだった。

「史恵、忘れちゃった?わたしたちのクラスで教育実習をしていた……している、
 加寿美先生よ。」
綾乃は事を全く理解していない様子の史恵に、諭すように言った。

「かすみ、先生?えっ?あ、ああ、えっ?加寿美先生?」
史恵は突然、大きな声を上げた。

「史恵さんもわかってくれたみたいね。細川史恵さん。」
個室の中から香澄の、安堵した声が返ってきた。
「加寿美先生。な〜んだ。誰かと思った。えっ?じゃあ、香澄は?」
「香澄さん、さっきまでいたの。
 でも、ちょっといろいろとあって、今はわたしがここにいるの。」

「ん?どういうこと?ねえ、綾乃、わたし、香澄の言ってる意味が分かんない。」
史恵には、香澄の思惑は全く伝わっていないようだった。
不思議そうに首をひねる史恵に、綾乃が言い聞かせるように、
有無を言わせないような強い口調で言った。
「…………加寿美、先生、なのよ。」

それを聞いた香澄は、加寿美先生の話し方を必死に真似ながら綾乃に言った。

「綾乃さん。わたし、あなたに頼みたいことがあるの。」
「香澄、じゃ、ダメなんですか?」
「ええ。香澄、さんじゃ、ダメなの。そしてわたしでもダメなことなの。」

綾乃と香澄の、禅問答のような会話に、史恵がまた首をひねりながら言った。
「ねえ、綾乃。今、話してるのって、香澄でしょ?それなのに、実習生の……。」

「史恵。ちょっと黙ってて。お願い。」
綾乃はつい、声を荒げて史恵の言葉を制した。
「綾乃……。」

「加寿美先生。そこに……この中に、匠君……も、いるんですよねえ。」
黙り込んだ史恵をよそに、綾乃は香澄の意図を探りながら、
個室の中の香澄に話しかけていく。
「…………ええ。本村君も……一緒よ。」
「…………。」
「だからこそ、綾乃さんに、どうしても頼みたいことがあるの。
 綾乃さんじゃないとダメなのよ。」

(香澄は、加寿美先生になりきって、何をわたしに頼もうとしているのだろう。
 やはり、そういうことなのだろうか……。)
「わたしじゃ……ないと……?」
「ええ。綾乃さんじゃないとダメなの。」
「わたしじゃないと……。」
「ねえ、綾乃さん。何も言わずに引き受けてくれる?本村匠君のこと。」
「…………。」
(やはり……。やはりそういうことだったのか……。)
綾乃はまだ納得できないまま、香澄の次の言葉を待った。

「綾乃さん。今から話すことは、
 本村君と綾乃さんのこれからにとって、とっても大切なことなの。
 だから、わたしも……全部、包み隠さず話すから……。」
「…………香澄……加寿美先生……。」

「匠君ね、今、わたしの身体を愛撫してくれていたの。
 わたしとセックスしたいとも言っていたわ。
 わたしも、思わず感じてしまって……。
 本村君、テクニックも、センスも、素晴らしいわ。
 わたしも、すぐにでも本村君のものを欲しいと思ったくらいよ。
 でもね、わたしよりふさわしい人がいるっていう話もしたの。
 もちろん、綾乃さんよ。」
「…………。」
「ねえ、綾乃さん。匠君に、初めてのセックス、教えてあげて欲しいの。
 匠君の、男としての素晴らしさを、匠君に伝えてあげて、
 自信が持てるようにしてあげて欲しいの。」

「でも……それだったら……わたしよりも、香澄の方が……。」
「綾乃さんなのよ。匠君の、生涯のパートナーは、綾乃さんなの。」

「か……かすみ……先生……。」
か細い匠の声が聞こえた。
「本村君。状況は分かったでしょ?あなたからも綾乃さんにちゃんと伝えるのよ。」
「えっ?あ、ボク……あ、あの……綾乃さん……。
 あの、つまり……ボクに……その……。」


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