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此処にある幸福
【ボーイズ 恋愛小説】

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此処にある幸福-2

それからの悠紀は俺を避けていた。
でも、告白した事を後悔はしない。この想いを伝えることが出来て満足していた。

あれから一週間経った日、再び悠紀は俺の部屋の戸をノックした。
俺らしくないけど、慌てて扉を開けてやった。
悠紀がいた。
「なぁ、尚紀はオレの事が…す、好き…なんだよな…?」
「ん、この間言っただろ」
「そうだけどっ、あれは冗談とかじゃないんだよな…?」
俺の気持ちが疑われているようで嫌だった。
「当たり前だろっ!こんな風に二人でいたらお前に悪戯したくなる。俺に気があるわけじゃないだろ?さっさと出て行った方がいいぞ」
そう、俺の欲望はもう抑える事ができないくらいだった…。
なのに、悠紀は出ていくどころか俺に近付き、抱き付いてきたんだ!
「やだよ…。オレも尚紀の事が好きなんだ!ずっと考えてたんだ…。そしたら解った。オレはいろんな子と付き合った。なんでだと思う?……尚紀よりも大切に想える子を探してたんだ…」
それを聞いたとたん俺の瞳に涙が浮かんだ。気付かれないようにないように悠紀を強く抱きしめ、キスをした。そして、俺達は繋がった。


両想いになった俺達は、昔のようにいつも一緒にいるようになった。風呂も一緒に入って、寝るときも一緒。学校に行くときも、飯を食うときも。

だが、兄弟で愛し合う俺達には敵が多すぎた…。

この関係に最初に気付いたのは悠紀が昔付き合ってた女達だった。勝手な噂を流された。噂が学校中に広がり、俺達に近付く奴はいなくなった。
俺は悠紀さえ居れば生きていける。
でも、悠紀は弱かった。次第に学校に行かなくなってしまった。

悠紀の登校拒否を心配した両親が、担任に噂を聞いてしまった。
家でも、いつも一緒にいた俺達。それを知ってる両親が、噂を疑うことはなかった。

その事で話し合っていたのを聞いてしまった。
結論は、離婚して一人づつ引き取るというもの。

冗談じゃねぇ!俺はこれからもずっと悠紀と一緒に生きていくんだ!
俺は悠紀を外に連れ出した。
「ずっと貯金してたから金はある。これで、俺達が幸福に暮らせるとこに行こう!」
「えっ…、で、でも…」
「母さん達が俺達を引き離そうとしてるんだ!俺はそんなのイヤなんだ!」
「オレも…尚紀とずっと一緒にいたい」
俺達は手を繋いで駅に向かった。
行けるとこまでの切符を買い、電車に乗り込んだ。

「ねぇ…俺達が幸福になれるとこなんてあるのかな…?」
俺に聞いてきた。そんなの俺にもわからない。
「きっとあるはずだ。今は少し寝てよう。」
「うん…」
すぐに悠紀の寝息が聞こえてきた。
「ごめんな…、幸福にするから…。」
悠紀の頭を優しく撫でて、俺も瞳を閉じた。


俺は悠紀と一緒にいることができれば幸福だ。
どうか俺の幸福を奪わないで…。


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