見知らぬ男に暴かれて-1
ーー溢れちゃうの、佐田くんだから。
先日バスルームでの情事で発した言葉は、時任真由美の本心だった。
休み明け、会社のデスクでぼーっと先日の情事を思い返す。
(会社で何考えてるの…)
「大丈夫ですか。体調悪いですか?」
とんとん、と指で肩を叩かれ、ふと我に帰る。
振り返るとそこにいたのは、金治だった。午前中外回りに行ったようで、今帰ってきたらしい。
関係を持つようになってから、以前ならしなかったような、さりげないボディタッチが増えた。
ーーとはいえ、それはあくまで自然なもので、いやらしく感じさせるような要素はない。にもかかわらず、今の真由美にはそれさえいやらしく感じてしまうのだった。
「佐田くんか、びっくりした。ちょっと、ぼーっとしてた。ごめん」
「今日、外回りないんでしょう?最近仕事忙しそうだから。昼から有給取れるなら、取っちゃった方がいいですよ」
「あ、うん……全然そんなんじゃない。ちょっと、トイレ行ってくる」
ーー金治の顔を見ることが出来なかった。
会社で先日の情事を思い出した自分が恥ずかしくなった。
真由美たちの部署が入っている部屋を出て、少し暗めの廊下を歩く。
このビルのワンフロアには、真由美たちの勤める会社が入っている。右に行くとエレベーターやトイレ、社員用の荷物置き兼更衣室、給湯室があり、左に行くと、この階にあるもうひとつのトイレがある。
真由美は部屋を出て、左に向かっていた。
そのトイレは、他の部屋やエレベーターの近くにあるトイレとは異なって、ほとんど社員に使われることがない。真由美が自身を慰めるのには絶好の場所だった。
トイレに入る時、若い警備員の男とすれ違う。真由美が今いるトイレ側にある、階段を上がってきたらしい。見回りの最中なのだろうか。
他人とすれ違ったことに少しドキドキしながら、個室に入り、鍵をかける。
スカートをたくしあげ、ゆっくりと自らのランジェリーをおろす。深紅のガーターベルトに、ショーツ。自らの欲情を掻き立てるような色の下着を無意識ながら身につけてしまっていたらしい。
(こんないやらしい下着……)
便器の蓋をあけ、座る。
脚をゆっくりと開き、クレバスに指を滑らせる。
ただ、金治との情事を思い出しただけなのに、右手の指でそこを開くとしっとりと濡れていた。