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僕と社長と不思議な彼女
【コメディ 恋愛小説】

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僕と社長と不思議な彼女-2

「あぁ、すまない驚かせたな」

さっきビルの屋上で聞いた声と似ている
だが、さっきのような甘ったるい声ではなく、刺すようにクールな声だ

「隣り、良いか?」

声の主は葉月の隣りを指差しながら聞いた
とくに断る理由はないのでうなづいた

隣りに座った声の主
ここに来て初めてちゃんと姿を見た

顔は、色素が薄くてほっそりしていて、切れ長の目が気の強さを表していた
胸の膨らみがある所をみると、女性なのだと解った
だが
何故彼女は、他の座席が空いているにも関わらず、自分の隣りに座るのだろう

『解らない
解らないよママン
誰か助けてくれ』
まぁ、当然だが葉月の心の声など誰にも届かない

「キミは、働く気はないか?」

まただ
またしても突然の発言と唐突すぎる質問
彼女は人を驚かせるのが好きなのだろうか?

「いや……別に」

葉月はまだ高校二年生だ
しかも自殺志願者
勤労意欲などカケラもない

「そうか……じゃあ、我が社で働かないか?」

…………
葉月は、さっきの自分の発言を振返る
「いや……別に」
…………
彼女は何に対して「じゃあ」を使ったのだろうか

そうか!もしかしたら
「じゃあ、(高校二年生にもなって、自殺志願者に成り下がるのはあまりに可哀相だ。これからの人生を生きるための社会勉強として)我が社で働かないか?」

を簡潔にしたのかもしれない
大事な部分をハショり過ぎたんだな
そうだそうだ
無理があるなんて野暮な事は言わないで頂きたい
まぁ、どちらにせよ聞かなければいけない事が三つ程あるな

「あの、できれば三つ程質問に答えて頂けないでしょうか?」
これを聞かなければ、相手の質問には答えられない

「むぅ……あまり時間はないが……まぁ良いさ」

勝手に人を連れ回す人間の発言ではない気がする
だが、葉月の性格上こんな些細な事は気にしない

「まず、アナタは何者ですか?」

これはかなり重要なポイントだ
カツ丼で言えばカツ
卵で言えば黄身(極稀に白身)位大切なポイントだ


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