同僚が眠っている横で-2
「旦那さん何してる人なんですか?こんなにビールくれるなんて、めっちゃ優しい」
「えー、朝美ちゃんには内緒」
「えっ!何それ、もしかしてその言い方、佐田くんは知ってんの?」
勢いよく、朝美が金治の方を向く。
「し、知ってるわけないじゃん!ほら。先輩、注いでくれたし乾杯しようよ!」
二人はソファに座り、テーブルを挟んで床に座る真由美がそれぞれのビールをグラスに注いでくれたタイミングだった。
動揺しながら、金治はグラスを手に取る。
「ふふ、佐田くんが知ってるわけないでしょ。今日は来てくれてありがとう。乾杯!」
真由美がいたずらっこのように笑いながら言う。
今日も何か起こるんだろうか…そんな期待を金治は胸に秘めながら、宴会中ずっとどきどきしていた。
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「寝ちゃいましたね…」
朝美の隣に座る金治がぽつりと呟く。時間は夜の九時頃だった。
五時頃から飲み始め、かなりハイペースで朝美はビールを飲んでいた。真由美の夫から送られてきたビールの中には普通のものよりアルコール度数が高いが、口当たりがよく飲みやすいものもたくさんあった。それが原因だろう。
真由美は立ち上がり、ソファにかけてあったひざ掛けを手に取ると朝美の体にかけてやる。
「今日はどうせ二人に泊まってもらおうと思ってたし。起きたら、朝美ちゃんにはベッドに移動してもらおう。
佐田くん、お酒何飲む?佐田くん、今日あんまり飲んでないね」
「甘いビール、マジで酔っちゃいそうじゃないですか。田中さんみたいになっちゃう」
少しペースを落としていたとはいえ、四時間も飲んでいれば酔いも回る。金治は上機嫌でそう答えた。
「ん…じゃあ、飲むの休憩しよ。ちょっと、揉んで欲しいな。佐田くん、マッサージうまいから」