同僚が眠っている横で-1
四月も終わりにさし掛かろうとしていた。
汗ばむ陽気で、こんな時期は冷たいビールが美味くなる。
朝美と金治は、会社の先輩の真由美に誘われ、真由美の自宅で飲み会をすることになった。
「お邪魔します。久しぶりに来れたの嬉しいです」
朝美がそう言ったあと、金治はぼそっと「お邪魔します…」と小さく呟いた。
「どうぞ、入って」
真由美は前回見た時と同様、白いパーカーに、お揃いであろうホットパンツを履いていた。すらり、と長い脚が金治には眩しい。どきどきしながら、朝美に着いていくように部屋に入る。
「あれ、ソファ変えました?」
リビングに着くなり、朝美が言い放つ。金治はその言葉に動揺した。元のソファは、金治とSの地方会社に出向になった秀次に犯された真由美の忌々しい記憶が思い起こされるものだ。おそらく、真由美はすぐ廃棄したのだろう。
「うん、汚れちゃったの。色々こぼれちゃって」
わざと、金治の心に突き刺さるような物言いで、真由美は答える。金治は真由美の視線を感じ、思わず下を向く。
「もともと夫が使ってたものだし、古かったから変えちゃった」
「そうなんですね〜」
「ま、二人とも座ってよ」
真由美がクスクスと笑いながら言う。
金治と朝美は、その言葉にソファに腰を下ろした。一方金治は、このソファで合意の上で行なった行為も思い起こす。
ーーペニスを優しくしごかれ、そしてその下に付く袋を吸われ、舐められ…
「ーー佐田くん。このビールでよかった?」
「あっ、は、はい」
そんな回想をしていると、真由美に声をかけられた。この会をしようとなったきっかけは、真由美の夫からビールのケースや、珍しいクラフトビールなどが届いたからだった。
先日真由美から聞いたように、実際の夫婦の生活はないという。だが、こういう気遣いはしてもらっているらしい。
金治にとっては複雑な気持ちだった。