投稿小説が全て無料で読める書けるPiPi's World

光の風
【ファンタジー 恋愛小説】

光の風の最初へ 光の風 63 光の風 65 光の風の最後へ

光の風 〈聖地篇〉-19

泣いているのだろうか。

リュナは目を閉じ、涙を落とした。そして目を開け微笑む。

「気付いてないのね、カルサ。全然気付いてない。」

リュナの声をカルサはじっと黙って聞いていた。リュナの腕がやさしくカルサの頭と背中を撫でる。

「あなたが思うより私は強いのよ?あなたが思うよりこの想いは強い。」

カルサはゆっくりと体を起こし、二人は見つめあった。カルサは泣いてはいなかったが不安そうにしていた。

リュナは愛しそうに微笑み、額に軽くキスをする。

「あなたの使命が運命なら変えられる。想いは全てを変える力を持っているのよ?」

リュナの言わんとする事が分からない。カルサはきょとんとしていた。

「傍にいるわ。傍にいたいの。」

リュナはカルサを包むように抱きしめた。幸せそうな笑顔、自分を求めてくれた事が嬉しくてたまらなかった。

「ありがとう。カルサ。」

カルサの顔が赤く染まる。思わず口を手で覆った。

「求めるつもりなんてなかった。オレは一人で戦っていかなくては…誰も犠牲にしない為に強くならなきゃ。」

感情を捨てようとも思った。しかし、捨てきれなかった。ならば強くなるしかない。誰も寄せ付けない強さ、すぐにでも命を亡くす強さが必要だった。

死にたがっていた。

「でもリュナに会って、愛しいと思ってしまった。守りたい、共に生きていきたい…。オレは命に執着を持ってしまった…。」

自分が死ねば全てが終わる。国も仲間も全てが救われる。命など惜しくはなかった。

たった一人の女性に世界を変えられるなんて。

「運命なんて私が変えてみせるわ。想いは力になる、何よりも無敵になれるのよ。」

両手でカルサの顔を包む。優しい瞳、暖かい空気、心も体も包まれるようだった。

時に無邪気に、時に全てを許すように与えてくれる愛情、カルサの生きる意味となる存在。

「カルサが好きなの。嬉しい…私を求めてくれてありがとう。」

リュナはそう言ってカルサを抱きしめた。カルサもそれに応える。

カルサの目から涙が溢れてきた。リュナをしっかりと抱きしめ離さない。

「ありがとう…リュナ…ありがとう。」

何度も同じ言葉を呟く。何度も何度も。今まで押し殺してきた想いが破裂する。

永遠に叶わない願い。

彼女の笑顔と想いで叶った願い。カルサよりも周りの人間が願ったこと。


光の風の最初へ 光の風 63 光の風 65 光の風の最後へ

名前変換フォーム

変換前の名前変換後の名前