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光の風
【ファンタジー 恋愛小説】

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光の風 〈聖地篇〉-12

リュナの中の不安が薄れていく。

「千羅さんと瑛琳さんは同じ立場にいるんですか?」

ゆっくりとした一回の瞬き。それは肯定を意味すると分かった。その答えがリュナを笑顔にさせる。

二人は大丈夫、そう感じたのだろう。その笑顔が千羅の気持ちを高まらせた。彼女に伝えたい事がある。

「リュナ、カルサを頼みます。」

千羅は真剣な顔でリュナを見た。リュナはその言葉を深く受けとめ、目を閉じゆっくりと開けた。

まっすぐ千羅と向き合う。

「はい。」

二人の会話をカルサは聞いていた。わざと聞かないフリ。カルサはその場から離れた。

 分かっている。自分の運命も使命も行く末も。覚悟なんて今更いらない、自分で受け入れ選んだ生き方だった。リュナと出会った後もそれは変わらない。

 分かっている。そんなカルサを救おうと千羅と瑛琳が動いている事。カルサに何も知らせずに色々動き、道を開こうとしている事も、気を遣っている事も、大切に思ってくれていることも。

分かっている。ジンロに何の否も無いことくらい。全てはカルサを守るため、守れるもの全てを救う為にここにいる事くらい分かっている。

ふと目を上げるとバルコニーの入り口にジンロがいた。穏やかな目でカルサを見ている。

カルサの進む先に彼はいた。

「皆してオレを守ろうとする。」

カルサはジンロの前で止まり呟いた。背後でリュナと千羅の楽しそうな声がかすかに聞こえる。

ジンロは笑いリュナと千羅に目を向けたあとカルサを見た。

「仲間を守りたいのは当たり前だろう。愛しい人を守りたいのも当たり前だろう?」

カルサは黙ったままジンロを見る。ジンロの表情はとても優しいものだった。左手でカルサの頭をぽんと叩く。

「大人が子供を守りたいのも当たり前の事だ。」

カルサの表情が変わった。目からウロコ、そんな気分だろうか。何を言われたか分からないというような表情だった。

「お前は皆の子供であり、弟であり、仲間だった。忘れるな?オレはお前一人にやらせるつもりはない。」

カルサの頭の上に置いたままの手を下ろす。相変わらず驚いた様な、少し困った顔にも見えた。

今まで一人で、自分の力でやろうと生きてきた。今にきて助けの手が出されるなんてカルサには考えもしないことだった。

まだ未成熟の戦士じゃない、大人からの差し出された手。

「甘えてもいいんだ。それが八つ当りでも、反発でも、拒絶でも、どんな形でもオレの所に持ってくればいい。」

カルサはジンロの目が見れなくなって逸らした。動揺しているのだろう、瞬きが多くなり拳は固く握られていた。

バルコニーの二人はそんなカルサに気付かず、相変わらず楽しそうに話し込んでいた。しかし千羅は気付いていたのかもしれない。


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