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香澄の本性
【寝とり/寝取られ 官能小説】

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家族旅行での出来事 夫婦交換 1-1

「やだよ〜。孝志お兄ちゃんとサヨナラしたくないよ〜。」


香澄が雅和たちと合流したのは、真奈美が号泣し始めた時だった。
まるで小さい子どもが駄々をこねるように、
口を大きく開け、叫ぶように泣き続けている真奈美を見て、
香澄はさすがに心が痛んだ。

(真奈美ちゃん、ごめんね。
わたしが孝志君を独占しちゃってたから、
 仕方なく真央ちゃんと一緒に、お父さんの相手をしていたのね。
 ああ、わたし、やっぱり母親失格だわ。)

孝志もばつの悪そうな顔をして真奈美を見ている。
雅和が必死になだめてはいるが、とても収まりそうになかった。

真央に何か言われた孝志がそばに行き、
耳元でしきりに謝っているようだが、
それでも真奈美は一向に泣き止む気配はなかった。

(でも、もう時間がないもの。
 真奈美には済まないけれど、こればかりはどうしようもないわ。)

香澄は真奈美に何と声をかけていいかわからずに、ずっと真奈美を見ていた。

それからほどなくして史恵の息子の利彦が顔を出した。
松本兄妹へ、史恵からの伝言を伝えに来たのだった。


   夕方から連続的に降り出したゲリラ豪雨のため、
   土砂崩れが起き、
   この旅館の最寄り駅までの鉄道が上下線とも不通になった

   復旧の見通しは今のところ立っておらず、
   いずれにしても明日の朝、駅までは旅館の車で送るとしても、
   その先どうなるかはわからない


「さっきのニュースでは、明日の朝から復旧工事が始まるということです。
 昼ごろになれば少しは先の見通しも立つと思うのですが、それまでは何とも……。」
「あら、じゃあ、明日の朝、早く出発しても無駄っていうこと?
 ねえ、お兄ちゃん。電車が走っていないんじゃ、仕方ないわよね。」

真央の言葉にはどこかしら喜びが隠されていた。
「ああ。お父さんには早く会って話がしたいけれど……。
 電車が復旧しないことには、な。」
それにこたえる孝志の言葉も、気のせいか、うれしそうだ。

松本兄妹の会話を聞きながら香澄は夫と顔を見合わせた。
(これって……。運がいい、んだわ。きっと……。)

真奈美は泣き続けていたこともあり、状況がよくつかめていないようで、
ただじっと孝志と利彦の顔を交互に見ている。

「ですから、明日の昼過ぎまでこちらにいらっしゃって、
 電車の状況がわかった時点で今後どうするかを
 また相談させていただければと思いまして……。
 場合によっては、車で、電車が通っている駅まで
 お送りすることもできるかと思いますが、
 いずれにしても、明日早朝の出発は無しということで……。」

「どうする?お兄ちゃん。」
「どうするもこうするも、仕方ないだろ?」
「正直申し上げますと、
 電車の方の復旧には2,3日はかかるんじゃないかと……。」
利彦は付け加えた。

「そんなに?」
驚いた顔をした真央の顔がさらにほころんだ。

「どっちにしても、明日の朝、お父さんに電話だけでもした方がいいな。」
「じゃあ、今夜は?」
「……だな。」
「うん。」
真央と孝志は互いにうなずくと、そのままその笑顔を真奈美の方へ向けた。

「えっ?どうなったの?
 えっ?どうするの?どうするの?」

孝志と真央の笑顔に真奈美は泣き止み、孝志と真央に声をかけた。

「真奈美ちゃん。雨のせいで電車が動かなくなって、
 ボクたち、明日の朝、帰ることができなくなっちゃったみたいなんだ。」
「えっ?じゃあ、どうするの?」
「うん。電車が動くまで、ここにいさせてもらうしかなさそうなんだ。」
「えっ?じゃあ、まだ帰らないんだね?」

香澄は渡りに船を得たような気がして、ようやく真奈美に声をかけた。
「そうよ、真奈美ちゃん。
 孝志さんたち、明日のお昼ごろまではここにいるわ。
 よかったわね。」
「ほんと?ほんとに?
 じゃあ、孝志お兄ちゃん……。」
「ああ。真奈美ちゃん。」
真奈美に見つめられて孝志は大きくうなずいた。
「ホント?ほんとに?今度こそ真奈美と?」
真奈美の顔に笑顔が戻った。

まさに真奈美にとっては起死回生。ゲリラ豪雨様様だった。

「じゃあ、お兄ちゃん。
 朝まではあっちの部屋で。
 真奈美ちゃん、ずっと待ってたんだから。
 真奈美ちゃん、欲求不満だと思うわ。」
孝志は真央の言葉にうなずいた。

真央は真奈美の方を向いた。
「真奈美ちゃん。お兄ちゃんに、どんな風にして欲しいか、
 ちゃんと言うの……
 (そっか……。真奈美ちゃんが言っちゃうよりも……。)」
そこまで言うと途中で言葉を止め、兄の方に向き直って強い口調で言った。

「……お兄ちゃん。
 いつもわたしにしているように、真奈美ちゃんにしてあげて。
 お兄ちゃんだって、真奈美ちゃんが何を望んでいるか、わかるでしょ?
 大丈夫よ。
 その辺はおじ様もわかっているから、遠慮はいらないわ。」

「いつも真央にしているように?」
孝志は怪訝そうな顔で妹の顔を見た。
「うん。真奈美ちゃん、たぶん……。
 ああいう感じのお兄さん、に憧れているんだと思うんだ。」

真央はそう言って真奈美の身体を孝志の方へそっと押し出した。

孝志は妹の言ったことの意味が分かったようで、
黙ったままの真奈美の手を引いて、半ば強引に隣の部屋へ行った。
戸惑いながらも真奈美の表情は見る見るうちに明るく晴れていった。


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