オフィスでのマッサージ-3
「ねえ、脚もお願いしていい?」
「え…」
金治が思わず手を放すと、真由美は体ごと、金治の方に向き直った。
金治はスカートから伸びた、黒いストッキングに包まれた脚に目をやる。
「せ、先輩の脚触ったらさすがにセクハラですよ…?」
「んー?あたしが強要してるって言いたいの?」
「え、いやそういうことじゃなくて…俺がしてる方です…」
真由美はニヤニヤ笑っている。
「ふふ、先輩命令だよ?」
真由美は右脚を、どかっと金治の両膝の上に投げ出した。金治はぎょっと目を大きくする。
「そういう意味ではあたしが佐田くんにセクハラしてるね」
「いや、でも本当に脚を俺が触るのはまずくないですか…」
「ーー察したんでしょ、小菅くんのこと」
金治の背中に、一筋の汗が伝う。
(…秀次のことは…先輩が圧力をかけたんだ…)
「ここまで言ってもできない?」
「だって、俺に触られるの嫌じゃないですか…俺に…」
金治は情けなくなって、泣き出してしまいそうだった。
真由美はふぅ、とため息をつく。
「あのね、触られたくなかったら二人きりになってないから。本当にマッサージして欲しいから頼んでるの」
「ーーわ、わかりました」
金治の手は汗ばんでいた。ぎゅ、と黒いストッキングに包まれた脚のふくらはぎを両手で揉んでいく。
金治は思い出さざるを得なかった。この細い脚を開いて、そこに自らの顔を押し付けてーー
「この時間浮腫むんだ。気持ちいい」
「女の人はヒール履くから…大変ですね」
「今日はずっとオフィスにいたからいいけどね。歩くと大変。電車通勤、みんながしてるみたいに絶対できないや。立ってなきゃいけないし」
「あ、そうか…先輩、車で通勤してますもんね」
そんなやり取りをしながらも、金治はいやらしい回想を止めることができなかった。自分の手がどんどん汗ばんでいく。