オフィスでのマッサージ-2
「ねえ。起こしたんだから、肩揉んでよ」
「えっ」
真由美はテーブルの上に飲みかけの缶を置いた。金治に背中を向けると、ひとつに縛られた髪の毛のゴムを解いて、肩を揉みやすいように手で体の前へと髪の毛をよける。
その真由美の行動によって、ふわり、とシャンプーの香りが金治の鼻をつき、真由美のうなじが見えてしまう。
どきん、と胸が高鳴った。
そして、既に背を向けた真由美にNOとは言えない状況だった。
意を決して、金治も缶をテーブルの上に置いた。
「い、痛かったら言って下さい」
そっと肩に手を置いて、親指に力を入れる。
「あ…気持ちいい。ゴリゴリしてる…こってるんだなあ」
「気持ちいい」という言葉さえ、無理やり真由美の体を暴いた感覚と、どうしてもリンクしてしまう。
「ここ…とか」
肩甲骨の内側あたりを親指で押した。
「あ、うん…気持ちいい。肩甲骨の辺り、自分じゃ届かないから。その辺り、もっとしてくれる…?」
「もっとして」という言葉に、思わず勃起してしまいそうだった。
この状況にいやらしい気持ちを持たないことなんて無理だった。このまま抱きしめて、無理やり押し倒してしまいたい。
「そこ…んっ…」
思わず漏れる真由美の吐息にいちいちドキドキしてしまう。
「佐田くん、うまいね。すごく気持ちいい」
「ありがとうございます…」
何故、こんなふうに体を触らせるのか。あんな出来事があって、二人きりになるのが怖くないのか。そんな考えが金治の頭をループする。
しばらく真由美の肩を揉んでいると、真由美が振り返り、こう言った。