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性用占精術 秘密のセックス鑑定 『星座別鑑定データ』
【ハーレム 官能小説】

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ピスケスの女 奉仕の章-4

「あー。桃香。お茶いれてくれないか」

 なぜだかここのところやけに桃香のいれたお茶が欲しくなる。昔カフェイン中毒だったころの症状に近い。ただ今は桃香のいれる茶なら何でもいいのだ。
薫り高い紅茶が運ばれる。水色も綺麗なオレンジ色だ。

「ありがとう。最近なんだかお茶中毒のようだよ」

桃香はにっこり笑って僕のそばに座る。

「ねえ。緋月さん。そろそろあたしたち、一緒になった方がいいと思いませんか?」
「一緒って?」
「仕事も男女関係も全部。あたしと緋月さんが一緒になればすごいことが出来ると思うんです」

今日の桃香はいつもと様子が違う。

「ん?僕たちはいわば師匠同士が結び付けた兄妹弟子のようなものだよ。家族も同然だ。君がもっと活躍したいっていうなら協力は惜しまないけど」

甘いフルーツの香りが漂ってくる。

「ねえ。緋月さん。小百合先生と蘭子先生はどうして一緒に事業を起こしたりしなかったかわかります?」
「占い師同士で徒党を組むってあんまりないからね」
「もうそんな時代じゃないと思いませんか?あたしたちが男と女ってことに大きな意味があると思うんです」

段々香りが熟したように強くなってくる。桃香はいつもの柔らかい雰囲気から重々しく存在感を増していく。そしていつの間にか僕の上に足を開いて対面座位の格好で座っていた。

「どうしたんだ。いきなり」

ぽってりとした唇が迫ってくる。顔を背けようとしたが吸い込まれているように視線が外せない。

「う、うむむ、ふっ、うむ」

濃厚な蜜の味が口いっぱいに広がり、肉厚な唇と舌が僕の内部をのたうち回りながら侵食していく。

「いきなりじゃありません。ずっと準備してました。緋月さんがあたしと一緒になってくれる時を」
「お茶に何かいれていたのか……」
「中毒性はありません。あたしが調合した媚薬です」
「媚薬……」

桃香はふふっと笑みを浮かべ、小さな白い手で僕の両頬を撫で「美味しいでしょう?」と囁く。

なんだか視界がぼんやりとしてくる。思考はまだしっかりしていて身体の感覚はあるのだが夢の中のようだ。

「何が狙いなんだ」
「あたしね。過去性の記憶があるんです。いつの時代もあたしは女でやっぱり占いだとかまじないだとかしてました。でもいつもいつも裏切られたの」

 桃香は魔女裁判やら巫女の人身御供の話などを僕に詳しく話して聞かせる。この話が真実なのか、それとも多感だった霊感少女の妄想なのかはどちらでもいい。大事なのは彼女が自分の能力によって他人の犠牲になってきたと思っていることだ。

「今は女の時代だって小百合先生も言ってた。男に踏みにじられてきた時代はも終わったって。ねえ、緋月さんユートピアを作りましょう。新しい時代には新しい時代の教えが必要だと思うの」
「女性の時代なら男の僕はいらないじゃないか」
「緋月さんは女にとって特別。あたし知ってるのよ。あなたのセックス鑑定を受けた人たちが成功したり、幸福に導かれたりしてるのを。覚えてる?一洋真帆さん。彼女は目覚ましい活躍で今やカリスマインストラクターなのよ」
「一洋さんの実力だよ。僕は関係ない」
「いいえ。ほかにも社会的に高く評価された人もいるし、望んだ生活を手に入れて幸福の絶頂の人もいる。その人たちはみんな緋月さんに関係した人よ」
「たまたまだ」
「あたしにはわかる。あなたと寝ると運気が上がるみたい。男の人でもそういう人がいることに感心しちゃう」

恐らく『アゲマン』のことを言っているのだろう。桃香は僕の胸をはだけ唇を押当てる。

「何をさせようっていうんだ」
「『セックス鑑定』」
「ばかな」
「緋月さんには『巫女』になってもらうの。信者の女性にあなたの持っているものを捧げる役目よ」

 桃香は男女逆転の社会を作り上げたいのだろうか。女性が強くなってきたとはいえ、まだまだ複雑な思いを抱いていることは理解しているつもりだ。

「桃香、間違ってるよ。それじゃ男のやり方をまた繰り返すだけだ」

僕は力を振り絞って話した。

「今、女性の時代と小百合先生がおっしゃたのは、男に取って代われという意味ではないと思うよ。女性の――感性、自然に、命に呼応したリズムを社会に生かそうということなんだよ。男を打ち負かしたい気持ちはあるだろうけど、それは、きっと望む世界にはならないと思う。まだまだ過渡期だけどいつか対等に手を取り合えると思うんだ。開かれた心と体で楽園のアダムとイブのように」
「あたし……」

僕の話が桃香の心に届いているだろうか。

「女性の素晴らしさは社会に少しずつ届いてきている。男の中にも戦うことに嫌気がさして、安らかに静かに愛する人と人生を送りたいと願う人が増えてきたよ。桃香。聞いてくれ。君の園女小百合先生からもらった『女』の文字は彼女の願いだよ。真の女であって欲しいと言う。僕には紅月蘭子先生が『月』の文字をくれた。暗い道を照らすようにと。だけど太陽じゃない」

一気に話し喉が渇き、お茶に手を伸ばした。

「入れなおします」

さっとカップを奪い桃香は僕から離れた。


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